植皮の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 06:18 UTC 版)
手術手技の進歩や栄養血管の解剖学的新知見などにより植皮を含む組織移植術の分類や定義を一元的に説明するのは難しくなっている。現在では「植皮」は分層植皮あるいは全層植皮を意味するとしてよいであろう。 1 遊離植皮術 血行を途絶した皮膚を移植する方法で、移植する皮膚の厚さにより、大きく2つに分類されている A.分層植皮術 split thickness skin grafting : STSG 真皮の厚さで3つに分類される。一般的に薄く採るほど生着もよく採皮部の上皮化も早いが、移植部位は外力に弱く、拘縮・色素沈着を起こしやすい。採皮部には面状の跡が残る。 1.薄目分層植皮 0.15-0.2mm網目状薄目分層植皮 採取した移植片に切れ込みを入れて網目状に加工することで被覆面積を大きくする方法。それに対し、加工を加えず移植する方法をシート状分層植皮という。薄目分層植皮以外の植皮片に切れ目を入れることもあるが、血腫予防のドレナージを目的とするため網目状の植皮とは区別する。 2.中間分層植皮 0.3-0.4mm 3.厚目分層植皮 0.6-0.7mm 採皮創は縫縮するか分層植皮をおこなって閉鎖する。 B.全層植皮術 full thickness skin grafting : FTSG 表皮と真皮を全て移植する方法。採皮創は縫縮するか分層植皮をおこなって閉鎖する。移植した皮膚の性質は時間を経過しても、移植部位周囲の皮膚の性質に近づくことはあり得ない。 2 有茎植皮術 血行を保って皮膚を移植する方法。本来は皮膚弁cutaneous flapを意味する。皮弁とも呼ばれる。現在ではほとんど使われない用語となった。 *注意事項:皮弁はflapの訳として定着してしまったが、flapは組織の固まりを意味し、移植する組織の構成成分を問わない表現である。したがって「皮弁」といった場合、皮膚弁を意味するのかflapを意味するのか伝わらない。これを嫌ってflapを「フラップ」と表現することもある。
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