本棚の初期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 01:43 UTC 版)
ローマ時代は文書は主にパピルス製の巻物に記され、巻子本の形に丸められて保管されていた。高価な巻子本は個別に収納するための筒が付属していたが、通常はカプサと呼ばれる箱にまとめて保管された。書店や図書館などでは壁に棚が設置され、その上に積み並べる状態で保管するのが一般的だった。紀元数世紀ごろには木片を閉じた手写本(コデックス)が登場して、巻子本に取って代わるようになったため、それに合わせて収納方法にも変化が見られるようになった。Shailorはこうした本の形態変化は4世紀ごろであったと述べているが、巻子本からコデックス本へ、形態が変遷する過渡期にあたっては両方が併用されたため、本の収納にはアルマリウム(戸棚)が広く使用された。この時代の本は全て手作りであり、貴重品として取り扱われたため、アルマリウムには鍵や留め金のついたものが多く用いられた。持ち運びが必要な場合にはチェスト(収納箱)が利用された。イングランド西部のヘレフォード大聖堂には1360年ごろに製作されたと見られるブックチェストが現存しているが、蓋部分には形状の異なる三種類の鍵が取り付けられており、本の保管に厳重な管理がなされていた事が伺える。装丁が原因でこの時代の本は重ねて保管することに不向きで、留具や突起が棚の中で周囲の本を傷付ける事が問題視されていた。
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