本文の信頼性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 09:21 UTC 版)
現存する『史記』の完本は南宋の慶元2年(1196年)のものが最古であり、これが司馬遷の原作にどの程度忠実かは大きな問題である。 唐代の作である「三皇本紀」は別にしても、太史公自序にいう「今上本紀」が今の『史記』には見えず、かわりに「孝武本紀」があるが、これが後世の補作であることは明らかである。それ以外の巻にも司馬遷が使ったはずのない「孝武」「武帝」の語が散見する。それどころか「建元以来侯者年表」「外戚世家」「三王世家」「屈原賈生列伝」には昭帝まで言及されている。とくに「漢興以来将相年表」は司馬遷のずっと後の鴻嘉元年(紀元前20年)まで記している。 『漢書』司馬遷伝によると、班固の見た『史記』は130巻のうち10巻は題だけで本文がなかった。現行本は130巻全部がそろっているので、後漢以降に誰かが補ったということになる。張晏によると、欠けていたのは「孝景本紀・孝武本紀・礼書・楽書・兵書・漢興以来将相年表・三王世家・日者列伝・亀策列伝・傅靳蒯成列伝」であるという。『史記』太史公自序の『索隠』は、このうち兵書は補われず、かわりに律書を加えたとする。
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