春本版の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 02:04 UTC 版)
作者「金阜山人」がたまたま買った元待合の古家で、四畳半の襖の下張から古人の手になる男女の情交をつづった春本を見つけ、それを浄書して読者に紹介するという説明が導入部にある(関東大震災の翌年に記した旨の記述がある)。 「はじめの方は、ちぎれてなし」という説明ののちにはじまる「古人作の春本」は、老人もしくは中年者と思しき人物の回顧ふうな文章が冒頭に置かれており、性的体験の遍歴や年齢とともに変ってゆく女性観・性意識などが述べられた後、「おのれ女房のお袖」が芸者であった時分の交渉が物語られる。性行為の描写が終わると、お袖との結婚後の模様が作者の女遊びなどを交えて簡潔に記され、話は唐突に終る。 いわゆる「入れ子細工」の構造は、荷風作の短編小説にしばしば見られる特徴である。
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