明白にローレンツ共変な弦の場の理論の構築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 00:25 UTC 版)
「九後汰一郎」の記事における「明白にローレンツ共変な弦の場の理論の構築」の解説
弦の生成消滅を記述する場の理論については、ミチオ・カク、吉川圭二による光円錐ゲージでのものが知られていたが、ローレンツ共変性が明白ではなかった。ローレンツ共変な開弦、閉弦の場の理論は、それぞれ、点粒子に対する非可換ゲージ理論、一般相対論の拡張を与えると期待されるものである。九後は、畑浩之、伊藤克美、國友浩、小川格との共同研究により、加藤光裕と小川格によるローレンツ共変な弦の第一量子論に基づいて、明白にローレンツ共変性を満たす弦の場の理論を、開弦と閉弦の各々に対して、相互作用も含めた形で定式化した。著者の頭文字を並べてHIKKO理論とも呼ばれる。弦が切れたり、つながったりする様子を表現するため、弦の長さを表すパラメータαを導入していることが特徴。また、弦の長さパラメータαをもカルテット機構(パリジ・ソーラス機構)で処理するべく、共変化された光円錐弦の場の理論を提唱した。 開いた弦に対しては、中点相互作用を用いた弦の場の理論がウィッテン (E.Witten) により定式化されていた。閉じた弦への拡張を与えるため、國友浩、末廣一彦と共同で、非多項式型の弦の場の理論の古典作用に関する研究を行った。 以上の弦場理論は平坦な背景時空を仮定したものであったが、背景時空を仮定しない、原幾何学的な弦の場の理論 (pregeometrical string field theory) を構成し、時空と運動の創発 (emergence) を議論する基礎を与えた(畑、伊藤、國友、小川と共同)。 他にも、閉弦の場の理論からのT双対性の導出(ツビーバック (B.Zwieback) と共同)、向き付けできない開弦と閉弦が共存する系の場の理論や弦の場の作用から弦の世界面を再構成する方法に関する研究(浅川嗣彦、高橋智彦と共同)、超対称な弦の場の理論の構成に向けた一連の研究、などがある。
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