日程学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 05:18 UTC 版)
「最後の事件」と「空き家の冒険」におけるライヘンバッハの滝での時間描写については、シャーロキアンの研究対象となっている。ホームズがモラン大佐による襲撃を受けたとき、「暗くなりかけた空」という描写がされているが、実際の時刻はすでに真夜中に近いのではないかという問題である。「最後の事件」によれば、ホームズとワトスンが滝へ向かってマイリンゲンの村を出発したのは午後である。滝を見物していたワトスンは助けを求める手紙を受けて村へ戻り、手紙が偽物だと知って再び滝へ向かう。滝に到着し、ホームズの行方不明を知ったワトスンは、捜索隊を手配して調査を行う。そして調査の結果、ホームズと教授が滝壷へ転落したという誤った結論を出して、引き上げた。一方、「空き家の冒険」におけるホームズの証言では、その間は滝の岩棚に潜んでいて、捜索隊が引き上げた後、モラン大佐の襲撃をかわして身を隠したのだとしている。しかし、村から滝への往復が約3時間かかるため、時間の計算が合わないのである。 この問題に対してベアリング=グールドは、ワトスンの記述の矛盾を批判する説や、ワトスンが村で手紙が偽物だと知った直後に捜索隊を手配していたのであれば、1往復分時間が短縮できるため夜にはならない、と詳細なタイムテーブルを作成して擁護する説などを紹介している。曽根晴明は、「最後の事件」について日程学で分析した結果、どうしても時間が合わないと結論を出し、何か語られていない事件の真相がありそうだとしている。
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