数学的帰納法の形式的な取り扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 22:48 UTC 版)
「数学的帰納法」の記事における「数学的帰納法の形式的な取り扱い」の解説
数学的帰納法の原理を説明する前に、まず前述した直観的説明のどこにギャップがあったのかを説明する。前述の説明では、まず我々は P(1) を結論づけ、次に (a), (b) から P(2) を結論づけ、さらにそれと (c) を組み合わせる事で P(3) を結論づけ、さらにそれと(d)を組み合わせる事で P(4) を結論づけた。以上の議論から分かるように、P(2) を結論づける為には2ステップの推論、P(3) を結論づけるには3ステップの推論、…、P(100) を結論づけるには100ステップの推論が必要となる。 従って有限回のステップでは有限個の n に対してしか P(n) を結論づける事ができず、「無限個ある自然数全てに対して P(n) が成り立つ」という数学的帰納法の結論について有限の長さの証明が与えられたとはいえない。これが前述した直観的説明におけるギャップである。 そこで、ペアノ算術などの形式的な体系では、数学的帰納法を証明に用いてよいことが公理として仮定されるのが普通である。つまり、形式的には、自然数の性質から数学的帰納法の正しさが証明できるのではなく、逆に自然数の本質的な性質を与える推論規則として数学的帰納法が仮定される、ということになる。
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