政府と軍隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 06:04 UTC 版)
軍事作戦の専門性が飛躍的に高まることによってそれまで国王が政治権力と併せ持っていた軍事権力が職業軍人によって担われるようになり、政府と軍隊の分離が近代以降急速に進むこととなった。政軍関係はハンティントンによって大きく主観的文民統制と客観的文民統制に分類されており、前者は政治家が極めて大きな統制力を軍隊に拡大する形態の政軍関係であり、後者は政治化が最低限の統制力を軍隊に維持する形態の政軍関係である。どちらが優れているかについては論争がある。ハンティントンは後者を徹底することが不適切かつ過剰な軍事への介入を封じることであると論じた。またパールマターはハンティントンの理論で述べられた軍隊の団体性に注目し、その団体性の肥大が政治への介入をもたらすとするプリートリアニズムを示した。一方でファイナーは軍人は政治に干渉する強い動機があるために政治家が軍人を絶対的な統制を行うべきであると論じた。またジャノヴィッツもハンティントンに反論して文民と軍人の思想や視点を共通化させることこそがよりよい政軍関係であると論じている。しかし国防のために精強な軍隊を建設して効果的に運用することと軍隊の政治力を抑制することは両立しがたく、また高度な軍事の専門性を政府と軍隊が共有することも難しく、根本的な解決は非常に難しい。
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