接空間と滑らかさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/23 00:10 UTC 版)
V を A k n {\displaystyle \mathbb {A} _{k}^{n}} で定義されたアフィン代数多様体とし、そのイデアル I(V) が多項式 f1, ..., fm で生成されているとする。このとき、点 p = (a1, ..., an) に対して一次式 hi,pを h i , p ( x 1 , … , x n ) = ∑ j ∂ f i ∂ x j ( p ) ⋅ ( x j − a j ) {\displaystyle h_{i,p}(x_{1},\ldots ,x_{n})=\sum _{j}{\frac {\partial f_{i}}{\partial x_{j}}}(p)\cdot (x_{j}-a_{j})} δ ( p ) = n − rank ( ∂ f i ∂ x j ( p ) ) {\displaystyle \delta (p)=n-{\mbox{rank}}\left({\frac {\partial f_{i}}{\partial x_{j}}}(p)\right)} V ( r ) = { p ∈ V ∣ δ ( p ) ⩾ r } {\displaystyle V(r)=\{p\in V\mid \delta (p)\geqslant r\}} は V のザリスキー位相の閉集合になる。すなわち、δ はザリスキー位相に関して上半連続である。このことから、δ の最小値を d とすると、 Vsm = V \ V(d + 1) は開集合となる。V の点 p が Vsm に入るとき、V は p で非特異 (non-singular, regular)、あるいは、滑らか (smooth) であるという。V = Vsm となるとき、V は非特異であるという。 点 p でのザリスキ接空間は、座標環 A(V) の点 p に対応する極大イデアル m を用いて、 T p V = ( m / m 2 ) ∨ {\displaystyle T_{p}V=(m/m^{2})^{\vee }} と書ける。従って、接空間や関数 δ は V の「入れ物」となるアフィン空間の取り方によらない。更に、上に現れた δ の最小値 d は実は V の次元にほかならない。V が A m n {\displaystyle \mathbb {A} _{m}^{n}} の中の超曲面である、すなわち、ひとつの方程式で定義されるアフィン代数多様体であるときは、d = n − 1 = trans. deg k k(V) は明らかである。一般の V に対しては、ネーターの正規化補題によって、V は A k d + 1 {\displaystyle \mathbb {A} _{k}^{d+1}} の中の超曲面と双有理同値になる。双有理同値で、d も関数体の超越次数も不変であるから、一般のアフィン代数多様体に対して d = dim V が言える。このことから、一般の代数多様体に対してもその点における非特異性が矛盾なく定義される。 ネーター局所環 (A, m) に対して、dim A をそのクルル次元として、関係式 dim A = dim ( m / m 2 ) ∨ {\displaystyle \dim A=\dim(m/m^{2})^{\vee }} が成り立つとき、A は正則局所環であるという。従って、代数多様体 X がその点 p で非特異であることは、p を含む X のアフィン開部分多様体の座標環の点 p に対応する極大イデアルの局所化が正則局所環である事と言い換えられる。非特異性をこのように言い換える事によって非特異性は一般の(局所ネーター的)スキームに拡張される。
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