成育環境と代表的な種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 09:53 UTC 版)
湿地から普通の野原まで生育する種があり、一部は海岸に生育する。 テンツキ(F. dichotoma (L.) var. tentsuki T. Koyama)は穂の高さが50cmにもなる草本で、やや湿った草地にはえる。水田ではあぜ道や周囲の草地で見かけることもある。全体に毛がはえている。柱頭は平らで先端は二つに分かれ、基部の縁には毛がはえる。果実は白く熟し、表面には格子模様の溝がある。本州南部以南では大柄で毛の少ない変種クグテンツキ(F. dichotoma var. floribunda Ohwi)がある。 やはり湿った草地によく出現するものにヤマイ(F. subbispicata Nees et Meyen)がある。茎の先端に大型の小穂が一つだけつくという、テンツキ属では例外的な姿である。 水田でよく見かけるのはヒデリコ(F. milliacea (L.))である。小穂は丸くて小さく、数が多いので他のものとは区別がつきやすい。葉は左右から偏平な剣状で、それが並んで生えた根元は平らになっている。 メアゼテンツキ(F. velata R.Br.)は、水田や湿地にはえる小型種で、雌しべの基部に毛を密生して、それが果実を覆うようになっているのが特徴である。 アオテンツキ(F. verrucifera (Maxim.))は、特に干上がった池の底の泥地によく発生する小型種である。小穂は丸っこく、果実は細長くて、縁に沿ってクギの頭のような突起がある。 海岸に生えるものもある。ビロードテンツキ(F. sericea (Poir.))は、砂浜に生える種で、全体に毛が密生する。イソヤマテンツキ(F. sieboldii Miq.)は、海岸の岩場や草地に生え、岩場では背が低く、密な固まりになるが、草地では真っすぐに立ち、50cmほどになる。この種は、沖縄では干潟に生えて、葉身がなくなり、フトイかなにかのような群落を形成する。これをシマテンツキ(F. sieboldii subsp. anpinensis (Hayata))という。シオカゼテンツキ(F. cymosa R.Br)は多数の細い葉をロゼット状につける。
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