形成過程と微地形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 20:34 UTC 版)
氾濫原は、自由蛇行流路を形成する河川の氾濫によって、氾濫水に含まれる砕屑物(礫、砂、泥)の堆積と、その流路の移動によって形成される。氾濫水に含まれる砕屑物は、扇状地のそれよりも細粒で、三角州のそれよりも粗粒である。 出水時には、流路から河川水が越流し、河岸沿いに自然堤防とよばれる微地形を形成する。自然堤防は氾濫水に含まれる砂(浮遊砂)が堆積してできる堆積地形であり、氾濫原の微高地として認識される。氾濫水に含まれる泥は、流路から遠方にまで運搬されうるため、流路から離れたところでは泥が堆積してできる後背低地とよばれる微低地を形成する。泥で構成される地盤は水はけが極めて悪いため、後背低地は部分的には湿地や泥炭地となる(後背湿地)。 大規模な出水によって自然堤防が破堤すると、クレバススプレーとよばれる微地形と堆積物が堆積する。これは、自然堤防を侵食して生じるクレバス状の溝、その直下に生じる落掘(おっぽり)とよばれる滝壺状の溝などの侵食地形と、その下流に生じるサンドスプレー、ローブとよばれる中~粗粒砂で構成される堆積地形の総称である。 自由蛇行流路は、氾濫原を自由に蛇行移動する。湾曲部の攻撃斜面(凹岸)側では、既存の氾濫原の地形面を侵食して蛇行崖とよばれる侵食地形を形成する。一方の滑走斜面(凸岸)側では、ポイントバー(寄州)とよばれる堆積地形を形成する。ポイントバーは河床を転がりながら移動する礫や粗粒な砂が堆積してできた地形であり、その表面にはスクロールバー(蛇行州)、リッジとよばれる微高地と、スウェイルとよばれる微低地が分布する。蛇行が大きくなると蛇行切断(カットオフ)が生じ、本流から切り離された流路は河跡湖(三日月湖)となる。三日月湖では氾濫水に含まれる泥が堆積し、旧河道とよばれる微低地となる。 氾濫原は上述したように、自然堤防、後背低地、ポイントバー、クレバススプレーなどの微地形の集合からなる。
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