形式的意味の憲法と実質的意味の憲法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 23:59 UTC 版)
「憲法」の記事における「形式的意味の憲法と実質的意味の憲法」の解説
19世紀後半から20世紀にかけゲオルグ・イェリネック(Georg Jellinek)などに代表される法実証主義の公法学者によって、事実的な意味での憲法概念を除く法的意味の憲法は、実質的意味の憲法と形式的意味の憲法に整理されるようになった。実質的な意味の憲法と形式的な意味の憲法の区別はほぼそのまま日本の憲法学に取り入れられた。 形式的意味の憲法とは「憲法」という名前で呼ばれている成文の法典を意味し、実質的意味の憲法とは多くの成文法や不文法の内容として存在する国家の基礎法全体を意味する。諸国にほぼ共通する現象として、実質的意味の憲法のすべてが成文化されているわけではなく、下位の法規範(法律や命令)で規定されたり、判例や憲法慣習によって補充されている。 実質的意味の憲法には含まれないと考えられる事項が当該国家の特殊な事情や憲法制定者の意向のもとで形式的な意味の憲法に盛り込まれることがある。形式的な意味の憲法に含まれるものの実質的な意味の憲法に含まれないものとしては、「出血前に麻酔させることなく動物を殺すこと」を禁止したスイス憲法旧25条の2がしばしば引用されるが、樋口陽一によれば、これはユダヤ教徒の慣行を禁止することを目的とした規定であり、実質的な意味の憲法に含まれる。
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