巨大化と絶滅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 09:23 UTC 版)
石炭紀にアースロプレウラやメガネウラのような巨大節足動物が現れた原因として、当時の大気中の酸素濃度が約35%と高かったためとする説や、これらを捕食する動物が少なかったからとする説などが唱えられている。ただし前者に関しては、知られる中でアースロプレウラと他の巨大節足動物(オオトンボ類、ダイオウウミサソリ類)の最古の化石標本は酸素濃度の上昇以前の地質時代由来で、酸素濃度は約23%で現世より少し高かっただけのサープコビアン期からもアースロプレウラの巨大化石標本が後に見つかり、巨大化はさほど酸素濃度に左右されないことが示唆される。これにより、アースロプレウラの巨大化は、むしろ競争者と捕食者が少ない同時に、栄養価の高い餌が多かった環境に大きく関与すると考えられる。 ペルム紀前期直後(約2億9,000万年前)では、他の陸棲植物が繫栄し続けるのに対してアースロプレウラの化石記録が絶えており(最晩期記録は約2億9,010万年前まで)、そこで絶滅したと考えられる。かつて、アースロプレウラの生態は石炭森林に依存すると解釈されたため、絶滅の原因は気候の変化と共に石炭紀と同じ森林環境が姿を消し(石炭紀熱帯雨林の崩壊事変、Carboniferous rainforest collapse)、食料となる植物が無くなったことだとされていた。しかし、アースロプレウラの化石記録はこの崩壊事変と共に激減することはなく、生態も後に石炭森林に依存せず、平坦で植物の密度が低い環境に生息した説の方が有力視される(前述参照)に連れて、石炭森林の崩壊ではなく、むしろ爬虫類の繫栄がもたらす競争者の増加や、赤道の乾燥化の方が絶滅原因になり得ると見直されるようになった。
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