山野の精霊と河神
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 04:41 UTC 版)
ニュンペーは自然界にいる女性の精霊で、なかには神々と等しい者もいた。他方、地上の世界にはニュンペーと対になっているとも言える男性の精霊が存在した。彼らはその姿が、人間とはいささか異なる場合があった。彼らは山野の精霊で、具体的には1)パーン(別名アイギパーン、「山羊の姿のパーン」の意)、2)ケンタウロス、3)シーレーノス、4)サテュロスなどが挙げられる。彼らの姿は、上半身は人間に近いが、下半身が馬や山羊であったり、額に角があったりする。 上記の中でパーンは別格とも言え、ヘルメースとドリュオプスの娘ドリュオペーのあいだの子で、オリュンポスの神の一員でもある。ただしパーンが誰の子かということについては諸説ある。シューリンクスという笛を好み、好色でもあった。ケンタウロスは半人半馬の姿で、乱暴かつ粗野であるが、ケイローンだけは異なり、医術に長け、また不死であった。シーレーノスとサテュロスは同じ種族と考えられ、前者は馬に似て年長であり、後者は山羊に似ていた。粗野で好色で、ニュンペーたちと戯れ暴れ回ることが多々あった。 彼らが山野の精霊であるのに対し、地上の多数の河川には、オーケアノスとテーテュースの息子である河川の精霊あるいは神がいた(『イーリアス』21章。『神統記』)。彼らは普通「河神(river-gods)」と呼ばれるので、精霊よりは格が高いと言える。3000人いるとされるオーケアニデスの兄弟に当たる。河神に対する崇拝もあり、彼らのための儀礼と社殿などもあった。スカマンドロス河神とアケローオス河神がよく知られる。
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