小豆婆とは? わかりやすく解説

小豆婆

(小豆磨ぎ婆 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/26 17:00 UTC 版)

小豆婆(あずきばばあ)または小豆磨ぎ婆(あずきとぎばばあ)は、宮城県から関東地方にかけて伝わる妖怪小豆洗いと同じように小豆をとぐ音をたてる老婆の妖怪で、地域によって伝承が異なる。小豆洗いとは別の妖怪ではなく、小豆洗いの正体を地域によっては婆として小豆婆と呼んだとする説もある[1]

各地の伝承

  • 埼玉県川越市
    • 下小坂村の廃寺で、雨の降りそうな夕方になると小豆の音を立てたという。この地方では、親のいいつけを守らない子供に対して親が「小豆婆に襲われるぞ」と語っていたという[2]
  • 栃木県
  • 群馬県
    • 小豆磨ぎ婆さんと呼ばれ、高崎城跡の堀端で小豆を磨ぐ音をたてて「小豆磨ぎやしょか、人取って食いやしょか、しょきしょき」と歌ったといわれる[2]。そこを通ろうとすると周りが明るい光に包まれてしまうが、親指を握って気を静めるとその光は消えるとされる[2]
    • また利根郡昭和村では、沢などで鍋に入れた小豆をかき回すような音を立て、小豆とぎと同様に「あずきとごうか、人獲って喰うか」と歌う。正体はムジナイタチといわれる[5]
  • 東京都
    • 秋の月夜に、小川から「小豆 ひとつぶ、小豆 ふたつぶ ささ なむ……」とかすれ声が聞こえ、夜明けには白装束姿でざるを抱えた老婆が、霧の中へと消えていったという[6]
    • 弘法大師伝説の残る青梅市の男井戸女井戸にも、小豆婆が現れたといわれる[7]
小豆婆が現れたといわれる東京都青梅市の男井戸女井戸
  • 山梨県北巨摩郡清春村中丸柿木平(現・北杜市
    • 小豆そぎ婆ともいう。諏訪神社の近くにあるアマンドウの大木の上にいて、毎晩ザアザアと音をたて、通行人に「小豆おあんなすって(小豆を食べて行け、の意)」と話しかけて呼びとめ、その者が驚いてうろたえていると、大きなざるですくい上げられてしまう[2][1]。妖怪研究家・村上健司は、同様に木の上から人をすくい上げるとされる妖怪・釣瓶落としと関連性があるものとみている[2]
  • 神奈川県横浜市都筑区川和町
    • 埼玉県同様、子脅しの妖怪として小豆磨き婆の名で語られている[2]
  • 宮城県富谷市西成田
    • 小豆洗いと同様の妖怪。小豆洗い婆と呼ばれ、日暮れの小川に老婆の姿で現れる。狐が正体だといわれる[2]

脚注

  1. ^ a b 水木しげる妖鬼化』 1巻、Softgarage、2004年1月、9頁。ISBN 978-4-86133-004-9 
  2. ^ a b c d e f g h 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年4月、13-15頁。ISBN 978-4-620-31428-0 
  3. ^ エラスムス像(上)「小豆研ぎ婆」国宝に」『読売新聞読売新聞社、2005年1月11日、東京朝刊、28面。オリジナルの2012年2月5日時点におけるアーカイブ。2020年8月20日閲覧。
  4. ^ 宮下良明「エラスムス像は語る」『佐伯史談』第154巻、佐伯史談会、1990年6月、20-25頁、CRID 10508457625838786562023年8月17日閲覧 
  5. ^ 根岸謙之助妖恠聞書」『上毛民俗』第32号、上毛民俗学会、1956年1月、7頁、NCID AN103177142015年8月27日閲覧 
  6. ^ 千葉幹夫『全国妖怪事典』小学館〈小学館ライブラリー〉、1995年10月、64頁。ISBN 978-4-09-460074-2 
  7. ^ 山口敏太郎『江戸武蔵野妖怪図鑑』けやき出版、2002年7月、46頁。ISBN 978-4-87751-168-5 

関連項目





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小豆婆」の関連用語

小豆婆のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小豆婆のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの小豆婆 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS