将棋栄誉敢闘賞とは？わかりやすく解説

将棋栄誉敢闘賞（しょうぎえいよかんとうしょう）は、日本将棋連盟に所属する将棋棋士がプロ入り後、すなわち四段昇段後に公式戦で通算800勝を挙げた時に達成者に贈られる賞である。1993年に制定された、通算勝ち数に応じて与えられる二つ目の賞である。本賞の前段階である通算600勝での将棋栄誉賞の他に、通算1000勝及び通算1200勝で特別将棋栄誉賞、通算1500勝で特別将棋栄誉敢闘賞がそれぞれ達成者に贈られる。

受賞者

通算800勝達成者を達成順に記載する。2025年10月6日現在で達成者は28名。井上慶太を除く全員がタイトル戦番勝負出場経験者で、青野照市を除く全員が達成時勝ち越し^[1]、中村修を除く全員が順位戦A級経験者、阿部隆を除く全員が九段での達成。タイトル未獲得での達成者は森下卓・阿部隆・青野照市・井上慶太の4名。

：現役棋士

#	達成年月日	達成者	達成時の成績 (持将棋を除く)	出典	当時年齢	四段昇段後年数	備考（※ 通算1000勝達成）
0
1	1972年07月31日	大山康晴	800勝 344敗(0.699)	^[2]	49歳04か月	32年05か月	持将棋 2（1146対局）	※
2	1982年12月18日	加藤一二三	800勝 510敗(0.611)	^[2]	42歳11か月	28年04か月	持将棋 1（1311対局）	※
3	1986年09月02日	中原誠	800勝 363敗(0.688)	^[2]	38歳11か月	20年10か月	持将棋 3（1166対局）	※
4	1987年05月26日	二上達也	800勝 670敗(0.544)	^[2]	55歳04か月	37年01か月	持将棋 1（1471対局）
5	1987年08月03日	内藤國雄	800勝 513敗(0.609)	^[2]	47歳08か月	28年10か月		※
6	1987年08月28日	米長邦雄	800勝 494敗(0.618)	^[2]	44歳02か月	24年04か月	持将棋 1（1295対局）	※
7	1987年10月05日	有吉道夫	800勝 585敗(0.578)	^[2]^[3]	52歳02か月	32年04か月		※
8	1997年03月03日	谷川浩司	800勝 412敗(0.660)	^[2]^[4]	34歳10か月	20年02か月	持将棋 3（1215対局）	※
9	2000年10月24日	大内延介	800勝 640敗(0.556)	^[2]	59歳00か月	37年06か月	持将棋 1（1441対局）
10	2000年12月01日	桐山清澄	800勝 618敗(0.564)	^[2]	53歳01か月	34年08か月
11	2003年02月23日	羽生善治	800勝 283敗(0.739)	^[2]^[5]	32歳04か月	17年02か月	持将棋 1（1084対局）/ 最年少、最速、初の7割超（最高勝率）での達成^{[注 1]}	※
12	2009年02月06日	森雞二	800勝 730敗(0.523)	^[6]	62歳10か月	39年10か月
13	2009年03月03日	佐藤康光	800勝 439敗(0.646)	^[7]	39歳05か月	21年11か月		※
14	2010年08月19日	森下卓	800勝 502敗(0.614)	^[8]	44歳01か月	26年10か月	タイトル未獲得者として初	※
15	2011年04月20日	森内俊之	800勝 433敗(0.649)	^[9]	40歳06か月	23年11か月		※
16	2014年11月18日	丸山忠久	800勝 433敗(0.649)	^[10]	44歳02か月	24年07か月		※
17	2014年11月21日	高橋道雄	800勝 616敗(0.565)	^[11]	54歳06か月	34年05か月
18	2015年10月17日	郷田真隆	800勝 467敗(0.631)	^[12]	44歳07か月	25年06か月		※
19	2017年11月03日	深浦康市	800勝 457敗(0.636)	^[13]	45歳08か月	26年01か月
20	2018年01月19日	南芳一	800勝 652敗(0.551)	^[14]	54歳07か月	37年00か月
21	2018年02月06日	島朗	800勝 670敗(0.544)	^[15]	54歳11か月	37年04か月
22	2020年01月29日	阿部隆	800勝 568敗(0.585)	^[16]	52歳05か月	34年07か月	段位が八段での達成^{[注 2]}、タイトル未獲得者として2人目。
23	2021年03月19日	屋敷伸之	800勝 530敗(0.602)	^[17]	49歳02か月	32年05か月
24	2021年06月09日	中村修	800勝 703敗(0.532)	^[18]	58歳07か月	40年11か月
25	2021年11月05日	久保利明	800勝 517敗(0.607)	^[19]	46歳02か月	28年07か月
26	2024年02月20日	青野照市	800勝 895敗(0.472)	^[20]^[1]	71歳00か月	49年10か月	最年長、最長所要年数、初の負け越しでの達成 / 引退確定後の達成^{[注 3]}。タイトル未獲得者として3人目。
27	2025年09月08日	塚田泰明	800勝 728敗(0.524)	^[21]	60歳09か月	44年06か月
28	2025年10月03日	井上慶太	800勝 704敗(0.532)	^[22]	61歳08か月	42年07か月	タイトル未獲得者として4人目、挑戦未経験者として初の達成者^[23]。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

^ 当時、800勝達成時に通算勝率が7割を超えていたのは羽生だけであった^[5]。
^ 四段プロ入り後、公式戦勝利数の累計による勝数規定のみで八段まで昇段し、800勝達成まで九段に昇段できなかったため。その他の800勝達成者は、順位戦昇級やタイトル獲得等による昇段を含む形で九段昇段後に達成している。なお、四段プロ入り後に勝数規定のみで昇段を続けた場合、通算810勝で九段へ昇段となる。阿部も将棋栄誉敢闘賞受賞後に公式戦10勝を積み重ねて九段に昇段している。
^ この後、青野は公式戦0勝4敗で引退。通算成績は800勝899敗。結果的に800勝目が現役最後の勝利となった。

出典

^ ^a ^b “将棋の青野照市九段が通算800勝　引退決定後、悲願の大台到達”. 朝日新聞デジタル (asahi.com). 朝日新聞社 (2024年2月20日). 2024年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月20日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k 「羽生善治、公式通算800勝達成」『日本将棋連盟』。2003年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。
^ 『将棋世界 1988年1月号』。
^ 『将棋世界 1997年5月号』。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵
^ ^a ^b “羽生竜王、最速・最年少で「800勝」”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2003年2月23日). 2003年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月20日閲覧。
^ 森けい二九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 佐藤康光棋王が800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 森下卓九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）を達成！｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 森内俊之九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）を達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 丸山忠久九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 高橋道雄九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 郷田真隆王将、800勝（将棋栄誉敢闘賞）達成！｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 深浦康市九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 南芳一九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 島朗九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 阿部　隆八段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ 屋敷伸之九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟
^ “中村修九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成！”. 日本将棋連盟. 2021年6月10日閲覧。
^ 久保利明九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜日本将棋連盟
^ 青野照市九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜日本将棋連盟
^ 塚田泰明九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成 - 日本将棋連盟
^ 井上慶太九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成 - 日本将棋連盟
^ 神戸新聞文化部 [@bunkakobenp]「タイトル戦挑戦手合に出場経験がない棋士で初の偉業」2025年10月6日。2025年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。X（旧Twitter）より2025年10月7日閲覧。

参考文献

軽部信昭『将棋界歴代最強棋士は徹底分析』 e-Bookland、2011年、p.153

外部リンク

キリ勝数のニュース一覧｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[6] 当時、800勝達成時に通算勝率が7割を超えていたのは羽生だけであった^[5]。

[18] 四段プロ入り後、公式戦勝利数の累計による勝数規定のみで八段まで昇段し、800勝達成まで九段に昇段できなかったため。その他の800勝達成者は、順位戦昇級やタイトル獲得等による昇段を含む形で九段昇段後に達成している。なお、四段プロ入り後に勝数規定のみで昇段を続けた場合、通算810勝で九段へ昇段となる。阿部も将棋栄誉敢闘賞受賞後に公式戦10勝を積み重ねて九段に昇段している。

[23] この後、青野は公式戦0勝4敗で引退。通算成績は800勝899敗。結果的に800勝目が現役最後の勝利となった。

[asahi20240220-1] “将棋の青野照市九段が通算800勝　引退決定後、悲願の大台到達”. 朝日新聞デジタル (asahi.com). 朝日新聞社 (2024年2月20日). 2024年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月20日閲覧。

[habu800-2] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k 「羽生善治、公式通算800勝達成」『日本将棋連盟』。2003年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。

[3] 『将棋世界 1988年1月号』。

[4] 『将棋世界 1997年5月号』。 - 国立国会図書館デジタルコレクション収蔵

[asahi20030223-5] “羽生竜王、最速・最年少で「800勝」”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2003年2月23日). 2003年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月20日閲覧。

[7] 森けい二九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[8] 佐藤康光棋王が800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[9] 森下卓九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）を達成！｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[10] 森内俊之九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）を達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[11] 丸山忠久九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[12] 高橋道雄九段、800勝（将棋栄誉敢闘賞）達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[13] 郷田真隆王将、800勝（将棋栄誉敢闘賞）達成！｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[14] 深浦康市九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[15] 南芳一九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[16] 島朗九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[17] 阿部　隆八段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[19] 屋敷伸之九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜将棋ニュース｜日本将棋連盟

[20] “中村修九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成！”. 日本将棋連盟. 2021年6月10日閲覧。

[21] 久保利明九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜日本将棋連盟

[22] 青野照市九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成｜日本将棋連盟

[24] 塚田泰明九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成 - 日本将棋連盟

[25] 井上慶太九段、800勝(将棋栄誉敢闘賞)達成 - 日本将棋連盟

[26] 神戸新聞文化部 [@bunkakobenp]「タイトル戦挑戦手合に出場経験がない棋士で初の偉業」2025年10月6日。2025年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。X（旧Twitter）より2025年10月7日閲覧。

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[注 3]

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