対処法・中度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 01:36 UTC 版)
中度以上の低体温症は、速やかに医療機関へ搬送する手配を第一とする。軽度のうちは本人が寒気を訴えて加温に躍起になるが、中度に進むと逆に意識水準が低下して保温に無関心となってくるため、「大丈夫です」の返答を安易に鵜呑みにせず救護者が客観的に全身症状から判断することが重要である。軽度ではまだ震え等での自発的な熱生産能力が残っているが、中度以上になるとそうした生理機能も障害されており、消極的再加温(=保温)のみで回復を期待するのは無効である。また、外部から温熱器具で暖める積極的表面再加温は、かえって種々のリスクを伴う。医療機関では、循環動態が不安定であれば、加温した輸液の注入・胃腸の温水洗浄などによる積極的中心再加温が行われる。 運動させたりすると、手足から停滞していた低温・低酸素・高カリウムの血液が心臓に戻り、心室細動等の異常を引き起こす事もあるので、出来るだけ安静を心掛ける。急激に体の表面を暖めると、末梢血液が環流することでかえって中心体温が低下するアフタードロップ現象を引き起こしたり、末梢血管の拡張による血圧低下でショック状態(ウォームショック)に陥ることがあるため、みだりに暖めない。比較的穏やかに暖める事は可能であるが、裸で抱き合うと、体の表面を圧迫して余計な血流を心臓に送り込んで負担を掛けるので避けるべきである。同様の理由で手足のマッサージも行ってはいけない。とにかく安静にする必要があるので、風雨を避けられる場所に移動するにも、濡れた衣服を着替えさせるにも、介助者がしてやるようにし、出来るだけ当人には運動させないようにする。心室細動により非常に苦しむ事もあるが、心臓停止状態以外では、胸骨圧迫も危険であるため、してはならない。
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