実証研究の深化・2000年代以降
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 21:20 UTC 版)
「フェミニスト映画理論」の記事における「実証研究の深化・2000年代以降」の解説
映画史家による実証研究では、2000年代に入ってジェーン・ゲインズらがコロンビア大学に設置したサイレント映画時代の産業調査プロジェクトが大きな役割を果たしている。ここでの研究によって、第二次大戦前のハリウッド映画界においては、かつてマルヴィが想像したほど女性が働き手として疎外されてはおらず、経営判断を行うプロデューサーから現場のカメラマン・編集者まで映画製作の全段階に女性が浸透していたことが明らかにされた。とくに映画の編集作業は、手先の細かさが必要な編み物のように女性向きの仕事とされたため、アメリカでは編集者の多くが女性だったことが分かっている。観客としてだけではなく作り手としても存在感を持っていた女性の発見によって、従来のフェミニスト映画理論が想定していた女性像は大きな修正を迫られつつある。 またこの過程でアリス・ギイ=ブラシェ (en) やドロシー・アーズナー 、ロイス・ウェバーなど、興行的な成功を収めながら長く忘れられていた女性監督に再び注目が集まるようになった。 現在ではそうした実証研究とともに、クィア理論などで展開された性的マイノリティへの考察や、非英語圏における映画と女性の関係に注目するポストコロニアル研究の成果なども新たにフェミニスト映画理論の重要な要素へ加わり、こうした観点からも「女性性」概念の再検討が進められている。
※この「実証研究の深化・2000年代以降」の解説は、「フェミニスト映画理論」の解説の一部です。
「実証研究の深化・2000年代以降」を含む「フェミニスト映画理論」の記事については、「フェミニスト映画理論」の概要を参照ください。
- 実証研究の深化2000年代以降のページへのリンク