定根と不定根
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 06:41 UTC 版)
4a. 主根型根系 (紫色は菌根菌). 4b. ひげ根型根系. 維管束植物において、根は胚の段階 (種子の中など) で幼根 (radicle) として形成される。これが成長して一次根 (初生根、primary root) となり、発達したものは主根 (main root、直根 taproot) になる。主根からは側根が生じる。このように幼根に由来する根、およびそこから生じた根を定根とよぶ。定根からなる根系は、一次根系 (primary root system) とよばれ、また主根型根系 (主根系、直根系、taproot system) ともよばれる (右図4a)。 定根に対して、幼根以外に由来する根は不定根 (adventitious root) とよばれる。不定根は、ふつう茎の維管束周辺から内生的に生じるが、まれに外生的に生じる例も知られている (例:ベゴニアの葉挿し)。不定根は茎の節から生じることが多く、このような根は節根 (nodal root) ともよばれる (右図4c)。そのため、挿し木にはふつう節を残した茎が用いられる。また定根と同様、不定根も側根を生じて側方分枝する (小葉植物以外; 上記参照)。シダ植物 (広義) や単子葉植物では、ふつうほとんどの根が不定根からなる。このような根系は二次根系 (secondary root system) または不定根系 (adventitious root system) とよばれる。また多数まとまって生じている一様な不定根はひげ根 (fibrous root) とよばれ、ひげ根からなる根系はひげ根型根系 (ひげ根系、fibrous root system) とよばれる (右図4b)。 種子植物において、種子から生じる根は種子根 (seminal root) とよばれる。種子根はふつう幼根であるが、既に幼根から側根 (種子側根) が生じている例もある。またイネ科などでは、胚軸から生じた不定根が種子根となることもある (種子不定根 seminal adventitious root)。
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