完全矯正眼鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 05:21 UTC 版)
眼鏡を作成する際に一番よく見える度数にすることを完全矯正といい、あえて弱めの度数にすることを低矯正という。従来、低矯正の眼鏡を装用することで近業時の目の負担を減らし、近視の進行を予防できるとする考えがあった。しかしながら、効果を検証する実験では、効果が認められなかったばかりか、むしろ低矯正にしていると完全矯正にしているより近視の進行が速いという結果であった。また、この方法ではよく見える度数にしていないのだから「眼鏡をかけてもあまりよく見えない」という不利益があることが自明である。こちらの論文では、 近視低矯正に進行予防効果があることを裏付ける証拠は、古い時代の少数の被験者による実験や動物実験と薄弱である 近年の、人間を対象とした、より多数の被験者を用いた複数の実験は、低矯正は完全矯正よりむしろ近視を余計に進行させてしまうことを示している 低矯正には、よく見えないという明白な不利益がある ことから、近視は完全矯正すべきだと結論付けている。 日本眼科医会の2010年度調査報告では、複数の実験結果のメタ解析から、低矯正眼鏡あるいは軽度近視を矯正しないことに近視進行の抑制効果は期待できないとした上で、しかしながら従来は低矯正のほうが進行を抑制するという考えがあったことから、近視低矯正で処方するか完全矯正で処方するかについて臨床現場では判断が分かれていると報告している。
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