完全相対時制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/28 08:46 UTC 版)
完全相対時制では文脈によって定まった参照時点と比較して時が表現される。参照時点が現在時点と比較していつであるかは明示されない。 完全相対時制の有名な例は古典アラビア語の未完了時制である。この時制は話中の時点で物事が継続中であることを表しており、それが発話時と比べて過去であるか、現在であるか、未来であるかは関係しない。したがってこの時制は相対現在時制であるとみなすことができる。(現代アラビア語ではこの時制は絶対非過去時制に変化している。) 通常の絶対時制が相対的に用いられる例として、英語の未来のことについての間接話法が挙げられる。Tomが "John will say that he paid for the chocolate"と述べたとき、 "paid"の過去形はJohnが発話しているだろう時点と比較して過去なのであり、今現在Tomが発話している時点よりも過去であるとは限らない。過去の間接話法においては英語では絶対時制か絶対相対時制を用いるが、他の言語では相対的な用いられることもある。ロシア語では、 "Jane said that she liked chocolate"は"Jane said that she likes chocolate"に対応する形で表現される。ここで"likes"の現在時制はJaneが発言している時点と比較して現在なのであり、Janeがこう述べたことを報告している時点と比較して現在であるとは限らない。
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