子の引渡しに関する法的問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 15:27 UTC 版)
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」の記事における「子の引渡しに関する法的問題点」の解説
従前の日本法に基づいても、外国人が日本国内の子の引渡しを求めることは可能である。子の親権者を定め、子の引渡しを命じる外国の裁判所の確定判決がある場合、民事訴訟法118条の条件を満たせば、日本の裁判所より民事執行法24条の執行判決を受けることにより、子の引渡しの強制執行が可能になる。実際にそのような例が報告されている。 反対に、本条約に加入しなくても、アメリカ合衆国の現行連邦法に基づき、アメリカに連れ去られた子どもが、日本に引き渡された判例もある。これは、子の扶養・監護手続に関する統一州法 (the Uniform Child Custody Jurisdiction and Enforcement Act、略称UCCJEA)という法律に抵触し、子供は過去6か月以上アメリカに住んだ事実がなく、子供の居住地は日本であると認められたからである。 一方の親から本条約による子の返還の申し立てがあった場合、「そもそも返還を請求した親に親権があるのか」という点が問題となる。親権の存在は本条約3条の「違法な連れ去り」の前提になり、また親権がないことは、本条約13条(a)の返還拒否の理由となる。
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