婚姻の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/29 07:54 UTC 版)
婚姻における法律回避は多くの場合、婚姻の成立要件が当事者にとって厳しい場合に婚姻挙行地を成立要件が緩やかな地域に意図的に変更することにより行われる。 歴史的に著名な例としては、19世紀前半に多く見られたグレトナ・グリーン婚が挙げられる。かつてイングランドでは、婚姻成立要件として父母の同意やイングランド国教会の牧師の前における儀式などが必要とされていた時期があった。これに対し、隣地のスコットランドでは当事者の合意のみで成立するとされていた。このため、イングランドに居住するカップルが結婚について父母の同意を得られない場合や儀式の費用を捻出することができない場合にイングランドからスコットランドに入ってすぐの場所にあるグレトナ・グリーンで結婚式を挙げた上で、スコットランド法による婚姻証明書を取得する方法が行われた。当時のイングランドの国際私法では婚姻の実質的成立要件と方式の準拠法は一括して婚姻挙行地法とされており(現在では、実質的成立要件については婚姻当事者の婚姻前の住所地法)、このような法律回避による婚姻もイングランドでは有効とされた。 もっともその後、宗教婚とは別に民事婚が可能になったこと、婚姻の挙行には一定期間の居住を要する立法がされたこと、スコットランドにおける法改正などにより典型的なグレトナ・グリーン婚は行われなくなる。
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