奇妙院の悪事・上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 20:03 UTC 版)
野州野木宿(現在の栃木県野木町)に富豪の青木定右衛門という男がおり、一人娘に16歳のおはまがいた。おはまには婚約者がおり、名を間々田喜三郎といった。23歳の喜三郎はおはまを愛しており、婚約の証として銀平打ちのかんざしをプレゼントした。おはまも喜三郎を愛しており、このかんざしを四六時中着用していたという。ところが、このおはまは喜三郎が商用で出かけている最中に病で急死してしまう。100ヵ日も過ぎた頃、おはまの死体が眠る西光寺に2人の客人がやってきた。住職が何者かと尋ねると、片方はおはまの婚約者である喜三郎と名乗り、もう片方は付き人の甚兵衛と名乗った。住職が目的を尋ねると、おはまに未練があるため亡骸を見たいと言い出した。住職は、現実を見せることで未練を断ち切ることも大切だと考えておはまの墓を掘り返し、棺を開けて骸を2人に見せた。2人は棺を覆うようにして崩れ落ち、亡骸にすがりつきながら号泣した。しばらく泣いて未練が断ち切られた喜三郎は、住職に自分が来たことを内密にするよう依頼し、寺を後にする。寺が完全に見えなくなったところまで歩くと、2人は下衆の笑みを浮かべる。実はこの2人は偽物で、本当は片方が奇妙院、もう片方が兄貴分の権太という男であった。2人の目的は、おはまの亡骸とともに埋葬された銀平打ちのかんざしを窃盗することである。しかし、銀平打ちのかんざしを換金した後の金を独り占めしたい奇妙院は、権太に毒入りの酒を飲ませて殺害する。死体は川へ投げ捨てた。
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