大鮫魚とは? わかりやすく解説

大鮫魚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/04 01:55 UTC 版)

大鮫魚(だいこうぎょ)は、古代中国の海にいたとされる伝説的な魚である。不老不死をかなえる蓬萊への行く手を阻み、紀元前210年始皇帝に射殺された。高大魚(こうだいぎょ)、鮫大魚(こうだいぎょ)とも書かれる。

史記の記述

大鮫魚に関するもっとも古い記録は、『史記』秦始皇本紀の始皇帝37年(紀元前210年)の箇所にある。始皇帝に神薬を求められながら、何年たっても得られなかった方士徐巿(別の箇所に徐福と書かれる)は、蓬莱の薬を得られないのは大鮫魚に妨げられるからだと嘘を言い、射撃の名手に連弩で射させるよう求めた。その時巡幸中の始皇帝は、人の姿をした海神と戦う夢を見た。皇帝に問われた占夢博士は、水神を見ることはできず、大魚・蛟竜を兆候とすると言い[1]、この悪神を除けば善神が来るだろうと答えた。始皇帝は船に乗ってみずから連弩を持ち、之罘で大魚を発見して射殺した。始皇帝はしばらくして病を発して死んだ。[2]

日本での伝説

平安時代の『今昔物語集』は高大魚と書く。始皇帝は左驂馬という愛馬を大高魚が食い殺す夢を見て、高大魚を殺せという命令を下した。人々は高大魚を探したが、とても殺せるものではない。それとは別に、不死の薬を求めた始皇帝は、方士を蓬莱山に使わしたが、これも高大魚に妨げられた。そこで始皇帝がみずから船に乗り、高大魚を射殺した。すると帰る間に重い病を受けて病死したという[3]

室町時代に書かれた『太平記』では、鮫大魚とする。僧の妙吉が足利直義に語った故事として記される[4]。やはり蓬莱山に不死の薬を求めた徐福・文政という道士が、竜神の祟りのせいで蓬莱に行けないと言い立てたため、始皇帝は数万槽の大船を率いて海に乗り出した。之罘の大河を過ぎるとき、300万人がときの声をあげると、驚いた竜神が鮫大魚という500丈(約1500メートル)ばかりの魚に変じて姿を現した。その頭は師子(獅子)のようで天に向かってそびえ、背は竜虵のようで海に横たわった。だが、四方から放たれた数百万の毒の矢を受けてたちまち殺された。その夜、始皇帝は竜神と戦う夢を見たが、翌日から病み苦しみ、7日後に死んだという。[5]

脚注

  1. ^ 新釈漢文体系の訳による。国東文麿は、水神はものを見ることができないため、大魚・蛟竜に偵察させると訳す(『今昔物語集』9の)。
  2. ^ 『史記』秦始皇本紀第6、始皇帝37年。新釈漢文体系『史記』1、361-362頁。
  3. ^ 『今昔物語集』巻10「秦の始皇、感楊宮に在りて世を政つ語」第1。国東文麿訳注『今昔物語集』9(講談社学術文庫)28-34頁。新日本古典文学大系『今昔物語集』二の285-287頁。
  4. ^ 『太平記』巻第26。新編日本古典文学全集『太平記』3の314頁。
  5. ^ 『太平記』巻第26。新編日本古典文学全集『太平記』3の317-318頁。

参考文献


大鮫魚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 04:54 UTC 版)

海帝」の記事における「大鮫魚」の解説

中国の伝説登場する巨大なの姿をした海神蓬莱へ至る道を阻み始皇帝射殺されるも、逆に呪い殺したとされる本作冒頭日本より帰国する途上鄭和前に出現し姿を消すが、大船団の出航に際して再び現れあたかも懸軍万里の旅を守護するかのように航海同道することとなる。

※この「大鮫魚」の解説は、「海帝」の解説の一部です。
「大鮫魚」を含む「海帝」の記事については、「海帝」の概要を参照ください。

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