大煙突案への反論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 08:50 UTC 版)
「日立鉱山の大煙突」の記事における「大煙突案への反論」の解説
久原が提唱した大煙突案は、当時の常識に反したものであったためさっそく反対論が噴出した。当時考えられていた最も有効的な煙害対策というものは、まず硫黄分を低下させた鉱石を製錬に用い、製錬によって出される亜硫酸ガスを含む排煙は、空気と混合させて排煙する仕組みを持つ低い煙突を用いて排出することによって被害地域の局限化を図り、排出後は速やかに空気中に拡散させて亜硫酸ガス濃度を十分低下させることを狙うといったものであった。久原の構想は有効と信じられていた煙害対策とは大きく異なるため、多くの反対論が唱えられることになったのである。 反対論の中でも最も強く唱えられたのが、煙突を高くすれば高くするほど排煙の拡散範囲が広くなり、結果として煙害の被害地域が拡大するという意見であった。また、そもそも煙害が発生するのは雨天や霧や靄が出るような悪天候の時であり、そのような天候時には排煙は上昇せずに地表低く流れてしまうため、少しくらい高い煙突を建てても無意味であるとの意見、更には高いところから排煙を排出すると気温が低いため、水蒸気が凝縮して排煙の容積も減少するため、速やかに地上に降下するのではという意見や、高所では気圧が低下するため排煙の浮揚を妨げるのではとの説を唱える者もいた。そして莫大な費用を費やして高い煙突を建てるくらいならば、化学的に亜硫酸ガスを除去する装置の開発に投資して欲しいとの意見も出た。
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