大尉の娘_(戯曲)とは? わかりやすく解説

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大尉の娘 (戯曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/22 05:10 UTC 版)

大尉の娘』(たいいのむすめ)は、中内蝶二による日本戯曲、または同作を原作とした1917年(大正6年)製作・公開、井上正夫監督による日本サイレント映画、および1924年(大正13年)製作・公開の野村芳亭監督、1927年(昭和2年)製作・公開の井上金太郎監督、1929年(昭和4年)製作・公開の落合浪雄監督、1936年(昭和11年)製作・公開の野淵昶監督による日本のリメイク映画である。

戯曲の初演は1922年(大正11年)、東京・明治座での公演であった[1]。翌1923年(大正12年)、初代水谷八重子が初演して以来、水谷の露子役は当たり役となり、本作は「八重子十種」の演目のひとつに数えられる[1]

略歴・概要

ドイツ映画『憲兵モエビウス』を元に、中内蝶二が戯曲化。初演の時期は不明である。

井上正夫一座による1922年(大正11年)6月、明治座での初演は、井上正夫の元大尉、女形花柳章太郎の露子で好評を得た[1]。初代水谷八重子は翌年には浅草の御国座で初演しており、父親役は井上正夫であった。

1917年(大正6年)には、小林喜三郎小林商会が映画化している。その後、リメイクが重ねられたが、1929年(昭和4年)の映画化の際に、映画において初めて八重子自身が露子を演じた。1936年(昭和11年)の映画化の際には、八重子の初演時の父親役であった井上正夫が登板している。

映画『大尉の娘』は、最後の映画化である新興キネマ版のみ、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵。近年も上映されている。ただし、同センターホームページの検索ではヒットしない。それ以外のバージョンは散逸したと思われる[2]

ストーリー

大正時代中期の長野県木曾に近く奥深い村の教師・森田慎蔵は、退役軍人である。その娘・露子は、その村の村長の甥・六松と恋愛関係にあったが結婚することができなかった。ふたりの間には子どもが生まれ、子は里子に出し、露子は東京に出ていた。

奉公先から里帰りしていた露子は、偶然、六松の結婚を知る。その婚礼の夜、露子は嫉妬のあまりに放火、花嫁は焼死する。六松の婚礼に参加していた慎蔵は、火事の現場に露子の草鞋を発見してしまう。露子が犯人であると悟った慎蔵は、娘の露子に死を諭す。ついに覚悟した露子を慎蔵は絞殺し、自らも自害する。

映画

1917年版

大尉の娘
監督 井上正夫
脚本 篠山吟葉
原作 中内蝶二
出演者 木下吉之助
井上正夫
撮影 長井信一
製作会社 小林商会
配給 小林商会
公開 1917年1月11日
製作国 日本
言語 日本語
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大尉の娘』(たいいのむすめ)は、1917年(大正6年)製作・公開、小林商会製作・配給による日本のサイレント映画である。女形の木下吉之助が露子を演じた。

スタッフ・作品データ

キャスト

  • 井上正夫 - 老大尉
  • 木下吉之助 - 老大尉の娘・喜代野
  • 藤野秀夫 - 村長の息子・松之助
  • 松永猛 - 老校長

1924年版

大尉の娘
監督 野村芳亭
脚本 武田晃
原作 中内蝶二
出演者 藤野秀夫
柳さく子
撮影 小田浜太郎
製作会社 松竹蒲田撮影所
配給 松竹キネマ
公開 1924年7月11日
製作国 日本
言語 日本語
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大尉の娘』(たいいのむすめ)は、1924年(大正13年)製作・公開、松竹蒲田撮影所製作、松竹キネマ配給による日本のサイレント映画である。柳さく子が露子を演じた。

スタッフ・作品データ

キャスト

1927年版

大尉の娘
監督 井上金太郎
脚本 秋篠珊次郎
原作 中内蝶二
出演者 関根達発
マキノ輝子
撮影 松浦しげる
製作会社 マキノ・プロダクション御室撮影所
配給 マキノ・プロダクション
公開 1927年1月10日
製作国 日本
言語 日本語
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大尉の娘』(たいいのむすめ)は、1927年(昭和2年)製作・公開、マキノ・プロダクション製作・配給による日本のサイレント映画である。マキノ輝子が露子を演じた。

スタッフ・作品データ

キャスト

1929年版

大尉の娘
監督 落合浪雄
脚本 落合浪雄
原作 中内蝶二
出演者 加藤精一
水谷八重子
撮影 峰尾芳男
製作会社 発声映画社大森撮影所
配給 発声映画社
公開 1929年11月1日
製作国 日本
言語 日本語
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大尉の娘』(たいいのむすめ)は、1929年(昭和4年)製作・公開、発声映画社製作・配給による日本のトーキーの劇映画である。水谷八重子が露子を演じた。

スタッフ・作品データ

キャスト

  • 加藤精一 - 森田慎蔵(退役陸軍大尉)
  • 水谷八重子 - 娘露子
  • 田辺若男 - 川本久五郎(村長の兄)
  • 根本淳 - 斉藤嘉平(助役)
  • 宮島啓夫 - 百姓乙吉
  • 市川啓夫 - 川本六松(村長の伜)
  • 西条静子 - その花嫁春子

1936年版

大尉の娘
監督 野淵昶
脚本 森田信義
原作 中内蝶二
劇化 落合浪雄
出演者 井上正夫
水谷八重子
撮影 青島順一郎
製作会社 松竹興行現代劇部
芸術座
新興キネマ東京撮影所
配給 松竹
公開 1936年1月30日
製作国 日本
言語 日本語
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大尉の娘』(たいいのむすめ)は、1936年(昭和11年)製作・公開、松竹興行現代劇部・芸術座新興キネマ東京撮影所製作、松竹配給による日本のトーキーの劇映画である。水谷八重子が露子を演じた。

スタッフ・作品データ

キャスト

  • 小宮一晃 - 松雄の叔父
  • 南部章三 - 白石家の主人
  • 歌川八重子 - 白石家夫人
  • 大井正夫 - 床屋の主人
  • 野辺かほる - 床屋の女房
  • 鈴木光枝 - 村娘お紺
  • 金沢コンチャン - お広の息子
  • 高橋潤 - 医者
  • 川島康夫 - 婚礼の客
  • 友成若波 - 婚礼の客
  • 榛名洋 - 婚礼の客
  • 勝本圭一 - 婚礼の客
  • 成島成夫 - 婚礼の客
  • 辻復二 - 婚礼の客
  • 福地初雄 - 婚礼の客
  • 今井録郎 - 常吉
  • 此村咲子 - 村の娘お咲
  • 川瀬静子 - 村の娘お静
  • 谷照子 - 村の娘
  • 山路晴子 - 村の娘
  • 堺寿美子 - 村の娘
  • 若水公子 - 村の娘
  • 速水稔 - 仲人
  • 池田園子 - 仲人
  • 上田寛 - 茂作
  • 松平竜子 - 白石家の客
  • 高倉恵美子 - 白石家の客
  • 御影公子 - 松雄の花嫁鈴子

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