塵円盤と惑星系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 20:48 UTC 版)
1988年、伴星系HD 98800 Bの周辺に塵円盤が存在していることを示す赤外超過が赤外線天文衛星IRASによって初めて観測され、その後ケック天文台 とスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて更なる観測が行われた。塵円盤は2つの別々の円盤で構成されている。内側の円盤はHD 98800 B系から1.5~2 au、外側の円盤は5.9 au離れた領域から存在しているが、どこまで広がっているかははっきりしていない。2つの円盤の間隔は3 auで、内側の円盤は薄く、外側の円盤の内縁付近は濃度が濃くなっている。 スピッツァー宇宙望遠鏡を用いてこの円盤を撮影したチームの指導者であるElise Furlanは、外側の円盤内の岩石天体の衝突によって発生する塵埃は、最終的には内側へ移動していくはずであると結論付けている。しかし、HD 98800 B系は二重連星系のため、これらの塵埃が内側の円盤を均等に満たすことはないとされている。 2019年、チリのアルマ望遠鏡によって行われた恒星同士がどのように動いているかを確かめた観測データと、以前から知られていたHD 98800 B系の軌道を組み合わせた結果、この塵円盤が2つの恒星の軌道面に対して垂直になっていることが発表された。こうした塵円盤の存在は理論上でしか考えられていなかったが、このアルマ望遠鏡による観測によって、このような塵円盤が普遍的に存在している可能性が示されている。この観測データからは、地球から見て反時計回りに公転している場合では塵円盤のHD 98800 B系の軌道面に対する傾斜が48度になることも示されたが、この場合だと円盤が安定しないため、HD 98800 B系に対して垂直になっていると断定されている。
※この「塵円盤と惑星系」の解説は、「HD 98800」の解説の一部です。
「塵円盤と惑星系」を含む「HD 98800」の記事については、「HD 98800」の概要を参照ください。
- 塵円盤と惑星系のページへのリンク