基本法第24条と「來港生仔團」問題
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「香港特別行政区基本法」の記事における「基本法第24条と「來港生仔團」問題」の解説
「來港生仔團」とは、香港に来て子供を生む人たちという意味である。基本法第24条1項は、香港で生まれた中国公民に香港居住権を認めている。そのため、香港で子供を産めば、子供は香港住民の資格を得て親の移住も可能となる。この問題が深刻化した原因は、2001年7月19日の「荘豊源案」判決である。荘豊源とは香港居住権を持たない両親が香港で生んだ男児である。その居住権をめぐり、政府と対立し、訴訟に持ち込んだ。結局、香港終審法院は荘豊源の居住権を認める判決を下し、当時は政府もこれを了承した。 特に2006年になって、中国からの妊婦がもたらす問題が深刻化し、クローズアップされた。出産費用を浮かすため病院への入院を避け、駅のホームで産気づいてしまう例も多い。また、公立病院に運び込まれても費用が払えず、外出許可で出ると踏み倒して失踪する事例も増えている。そのため、香港の公立病院では回収不能な治療費が急増し、問題化している。中でも広九鉄道沿線の沙田にあるプリンスウェールズ病院が最も深刻だという。また香港に移住すれば、生活保護を得られる。 この問題は、一般の香港住民にも影響を与えている。一部の大陸の妊婦は多額の費用を払って、私立病院で出産しているが、多くは費用が安い(あるいは費用を踏み倒しやすい)公立病院に来たり、あるいは(入院をためらっている内に産気づいて)搬入されている。そのため、一般の香港住民には、自分たちの出産や医療にもしわ寄せが来ているとの不満や不安がある。 そのため、香港政府は中央政府と協議し、大陸からの妊婦の香港渡航を制限する方法を模索する方針である。また、民間からは基本法の改正や、費用精算前に出産証明を出さないなどの案も提案されている。ただし、香港政府は基本法改正の提起に消極的である。
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