土石流堆積物の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 00:06 UTC 版)
岩屋寺へ続く伊勢谷沿いの参道は、ところどころに平坦になった場所、地形用語で谷床(こくしょう)と呼ばれる平坦地が存在する。切開の下流に位置するこれら複数の谷床に着目した井上は、これを土石流が堆積したものと考え、切開に近い標高450メートル付近にある伊勢谷の谷床の調査を行った。 この場所は岩相が露出しているため観察するのに適しており、土石流堆積物は全体的に大雑把な成層になっている。成層は花崗岩起源の数ミリから数センチの角礫や砂で構成され、一部に10センチから30センチほどの礫、木片が含まれる。そして直径2メートルほどの大きな花崗岩のブロックがある。これら角礫や砂などの微細な堆積物は、花崗岩のブロックに対して水平にぶつかるように堆積しており、地質学用語で言うアバット不整合の構造を示すことから、この2つは同時に堆積したものではなく、もともと花崗岩のブロックが転がっていた場所に、土石流が流下して堆積したものである。 採取した木片(長さ約40センチ)を切断して断面を見ると、木の幹の半面が剥ぎ取られたものであることが分かった。土石流発生時に巻き込まれたものと推定され、僅かであるが樹脂がしみ出る。この木片は1か月が経過しても切断面の内部が乾燥しなかった。また、堆積物の中から直径1センチと2センチの玄武岩でできた細礫が各1つずつ確認された。
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