嘘を見破るテクニック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 05:59 UTC 版)
「嘘をつくとき人は(その人から見て)右上を見る」という嘘を見破るテクニックが広く知られており、右利きの人が右を向いた場合、脳の創造的な部分である右半球が活性化し、嘘を作っていることがわかり、一方、左を向いた場合は、理性的な左半球の活動を示しており、話し手が真実を語っていることを示しているため、眼球の動きで嘘を見抜けると言われる。この考えは、警察の取調べの訓練に使われたと言われるほど常識として定着しており、ウェブ上でもあちこちで見かけるようになった。しかし、複数の実験的検証により、完全に誤りであることが分かっており、研究者の一人のハートフォードシャー大学心理学教授リチャード・ワイズマンは、この考えは「狂気の沙汰である」と述べている。この間違った心理学風の理論は、1970年代-80年代に作られたセルフヘルプ哲学のNLP(神経言語プログラミング)の文献に端を発していると言われ、NLPでアイ・アクセシング・キューと呼ばれるテクニックに起因する。ワイズマンは、元々NLPの文献では、再構築された記憶と生成された記憶、つまり想像と実際に起こった出来事の違いについての話であったが、これが時間をかけて、嘘と事実に関する話にすり替わっていったと指摘している。 この考え方が広まるにつれ、厳密な検証もされないまま、研修のマニュアルに組み込まれ、多くの組織で面接官は、採用志望者が自分の過去について話す際には、嘘を見抜くために、眼球運動のパターンに注意するように指導されていた。
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