商業の振興
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:20 UTC 版)
貿易をする大商人はタージルと呼ばれ、イスラーム法のもとで貿易の制度も整えられた。出資者が事業家に出資する方法や共同出資が発達して、ユダヤ商人やキリスト教の商人との間でも用いられた。イスラーム経済では等価・等量交換を重視することから、ディナール金貨やディルハム銀貨の重量が保たれ、ヨーロッパでも信用の高い貨幣として扱われた。遠隔地貿易の代理人としてアラビア語のワキール、ヘブライ語でバーキードと呼ばれる者がおり、イスラーム商圏で紛争処理、商品保管、仲介などを行った。ワキールにはイスラーム法の知識が求められるため、法官のカーディーが務めることも多かった。アッバース朝以降には商業書も多数書かれ、中でもディマシュキーの『商業の功徳』が有名である。ディマシュキーは、取り引きや品質管理についての経営論、商人の類型なども論じた。ディマシュキーは商人について、倉庫業者で卸売をするハッザーン、運送業者で遠距離交易をするラッカード、各地に代理店を作って買い付けをするムジャッヒズに分類している。『商業の功徳』は、のちにヨーロッパの商業学にも影響を与えた。
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