和の規約による略記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 10:00 UTC 版)
「テンソルの縮約」の記事における「和の規約による略記」の解説
抽象添字記法において、ベクトルと双対ベクトルとの基本縮約は f ~ ( v → ) = f γ v γ {\displaystyle {\tilde {f}}({\vec {v}})=f_{\gamma }v^{\gamma }} と書かれる。これは陽に書けば f γ v γ = f 1 v 1 + f 2 v 2 + ⋯ + f n v n {\displaystyle f_{\gamma }v^{\gamma }=f_{1}v^{1}+f_{2}v^{2}+\cdots +f_{n}v^{n}} と書かれる座標和 を略記したものである。ただし、各 vi は特定の基底に関する v の成分であり、各 fi は対応する双対基底に関する f の成分である。 一般の混合二項テンソルは f ⊗ v の形の分解可能テンソルの線型結合であるから、二項テンソルの場合の明示式は以下のように計算できる。混合二項テンソルを T = T i j e i e j {\displaystyle \mathbf {T} =T^{i}{}_{j}\mathbf {e} _{i}\mathbf {e} ^{j}} と書けば、その縮約は T i j e i ⋅ e j = T i j δ i j = T j j ( = T 1 1 + ⋯ + T n n ) {\displaystyle T^{i}{}_{j}\mathbf {e} _{i}\cdot \mathbf {e} ^{j}=T^{i}{}_{j}\delta _{i}{}^{j}=T^{j}{}_{j}(=T^{1}{}_{1}+\cdots +T^{n}{}_{n})} で与えられる。一般の縮約は、同じ文字でラベル付けされた共変添字と反変添字の対として表される(和の規約により、そのような添字に関して和が取られる)。縮約によって得られるテンソルはもともとのテンソルの添字を継承する。例えば、(2, 2)-型テンソル T の二番目と三番目の添字に関する縮約は、 T a b b c = ∑ b T a b b c = T a 1 1 c + T a 2 2 c + ⋯ + T a n n c = U a c {\displaystyle T^{ab}{}_{bc}=\sum _{b}{T^{ab}{}_{bc}}=T^{a1}{}_{1c}+T^{a2}{}_{2c}+\cdots +T^{an}{}_{nc}=U^{a}{}_{c}} として表される (1, 1)-型テンソル U を新たに作り出す。これと対照に、非混合二項テンソル T = e i e j {\displaystyle \mathbf {T} =\mathbf {e} ^{i}\mathbf {e} ^{j}} は縮約できない。これらの基底ベクトルを点乗積すれば、得られるのは二階のテンソルである反変計量テンソル g i j = e i ⋅ e j {\displaystyle g^{ij}=\mathbf {e} ^{i}\cdot \mathbf {e} ^{j}} である。
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