同値性の決定不可能性とは? わかりやすく解説

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同値性の決定不可能性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/12 16:37 UTC 版)

ラムダ計算」の記事における「同値性の決定不可能性」の解説

2つラムダ式入力とし、それらが同値であるかどうか判定するアルゴリズム存在しない。これは決定不可能性が示され歴史的に最初問題である。ここで使われる「アルゴリズム」という言葉も、もちろんきちんと定義されなければならないチャーチ自身の証明の中で帰納的関数をその定義に用いたが、現在ではこれは適切なその他のアルゴリズムの定義と等価であることが知られている。 チャーチの証明ではこの問題を、あたえられラムダ式正規形存在するかどうかという問題帰している。正規形とは、それ以上簡約できない同値ラムダ式のことである。チャーチの証明ではまず、この問題決定可能である、つまり、ラムダ式表現可能であると仮定するクリーネによる結果ゲーデル数ラムダ式表現用いることによってチャーチは、対角線論法によりパラドキシカルラムダ式 e を構成した。この e を、それ自身を表すゲーデル数適用する矛盾導かれる詳しくいえば次のようである。まず X {\displaystyle X} を正規形存在性判定するラムダ式とする。 A {\displaystyle A} を2つラムダ式ゲーデル数から、それらを適用してできるラムダ式計算する関数を表すラムダ式、 N {\displaystyle N} を自然数からそれを表すラムダ式表現ゲーデル数求め関数を表すラムダ式とする。すなわち、 A ⌜ x ⌝ ⌜ y ⌝ → β ⌜ ( x y ) ⌝ {\displaystyle A\ulcorner x\urcorner \ulcorner y\urcorner \to ^{\beta }\ulcorner (xy)\urcorner } N ⌜ x ⌝ → β ⌜ ⌜ x ⌝ ⌝ {\displaystyle N\ulcorner x\urcorner \to ^{\beta }\ulcorner \ulcorner x\urcorner \urcorner } が成り立つ。ここで ⌜ x ⌝ {\displaystyle \ulcorner x\urcorner } はラムダ式 x {\displaystyle x} のゲーデル数を表すラムダ式表現である。いま、ラムダ式 e {\displaystyle e} を e := λ x .  if  X ( A x ( N x ) )  then  Ω  else  λ y . y {\displaystyle e:=\lambda x.{\text{ if }}X(Ax(Nx)){\text{ then }}\Omega {\text{ else }}\lambda y.y} と定める。ここで Ω {\displaystyle \Omega } は正規形持たないラムダ式 ( λ x . x x ) ( λ x . x x ) {\displaystyle (\lambda x.xx)(\lambda x.xx)} である。自己適用 e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner } を計算する次のうになる。 e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner }  if  X ( A ⌜ e ⌝ ( N ⌜ e ⌝ ) )  then  Ω  else  λ y . y {\displaystyle {\text{ if }}X(A\ulcorner e\urcorner (N\ulcorner e\urcorner )){\text{ then }}\Omega {\text{ else }}\lambda y.y}  if  X ( A ⌜ e ⌝ ⌜ ⌜ e ⌝ ⌝ )  then  Ω  else  λ y . y {\displaystyle {\text{ if }}X(A\ulcorner e\urcorner \ulcorner \ulcorner e\urcorner \urcorner ){\text{ then }}\Omega {\text{ else }}\lambda y.y}  if  X ⌜ e ⌜ e ⌝ ⌝  then  Ω  else  λ y . y {\displaystyle {\text{ if }}X\ulcorner e\ulcorner e\urcorner \urcorner {\text{ then }}\Omega {\text{ else }}\lambda y.y} もし e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner } が正規形を持つならば、 e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner } は Ω {\displaystyle \Omega } にベータ簡約される。するとチャーチ・ロッサーの定理より、 Ω {\displaystyle \Omega } は e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner } と共通のラムダ式ベータ簡約できるから、 Ω {\displaystyle \Omega } は正規形を持つ。これは矛盾。したがって e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner } は正規形持たない。すると e ⌜ e ⌝ {\displaystyle e\ulcorner e\urcorner } は λ x . x {\displaystyle \lambda x.x} にベータ簡約されることになる。ラムダ式 λ x . x {\displaystyle \lambda x.x} は正規形であるので、やはり矛盾。したがって X {\displaystyle X} のようなラムダ式存在しない

※この「同値性の決定不可能性」の解説は、「ラムダ計算」の解説の一部です。
「同値性の決定不可能性」を含む「ラムダ計算」の記事については、「ラムダ計算」の概要を参照ください。

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