同値不変な性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/10/13 15:54 UTC 版)
多くの性質が加群の圏の対象による森田同値を与える関手によって保たれる。一般的に、(台集合の元や環に依らずに)加群とその準同型のみで定義される加群の性質は、森田同値を与える関手によって保たれる圏論的性質である。たとえば F(–) が R-Mod から S-Mod への森田同値を与える関手ならば、R 加群 M が次の性質をもつ必要十分条件は S 加群 F(M) がその性質を持つことである:入射的・射影的・平坦・有限生成・有限表示的・アルティン的・ネーター的。森田同値不変とは限らない性質には自由であることや巡回的であることがある。 多くの環論的性質はその環上の加群のことばで述べられるので、これらの性質は森田同値な環の間で保たれる。森田同値な環で共有される性質は森田不変量と呼ばれる。たとえば環 R が半単純環である必要十分条件はその環上のすべての加群が半単純加群であることで、加群の半単純性は森田同値で保たれるので、森田同値な環 S 上の加群もすべて半単純であり、したがって S も半単純環である。ある性質がなぜ保たれなければならないのかが明らかではないこともある。たとえば標準的なフォン・ノイマン正則環の定義(すべての R の元 a に対して R の元 x が存在して、a = axa を満たす)の下で森田同値な環もフォン・ノイマン正則環でなければならないことは明らかではない。しかし他の定式化がある:環がフォン・ノイマン正則環である必要十分条件は、その環上の加群がすべて平坦であることである。平坦性は森田同値で保たれるので、フォン・ノイマン正則性が森田不変量であることがわかった。 以下の性質は森田不変量である。 単純、半単純 フォン・ノイマン正則性 左(あるいは右)ネーター性、左(あるいは右)アルティン性 左(あるいは右)自己入射的 準フロベニウス的 素、左(あるいは右)原始的、半素、半原始的 左(あるいは右)遺伝的 左(あるいは右)非特異 左(あるいは右)連接 半準素、左(あるいは右)完全、半完全 半局所
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