吉川祐介とは? わかりやすく解説

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吉川祐介

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/28 13:59 UTC 版)

吉川 祐介
人物
生誕 (1981-01-29) 1981年1月29日(44歳)
日本, 静岡県
職業 文筆家YouTuberブロガー
公式サイト URBANSPRAWL -限界ニュータウン探訪記-
YouTube
チャンネル
ジャンル 不動産
登録者数 19.1万人
総再生回数 30,590,267回
チャンネル登録者数・総再生回数は
2024年9月8日時点。
テンプレートを表示

吉川 祐介(よしかわ ゆうすけ、1981年1月29日[1] - )は、日本文筆家YouTuberブロガーである。おもに千葉県北東部の放棄分譲地を扱ったブログ記事およびYouTube動画を投稿している。

来歴

吉川祐介は1981年(昭和56年)1月29日に静岡市で生まれた[1][2]。高校を卒業した後はバスの運転手、コンビニエンスストアの店員、新聞配達などで生計を立てていた[3]。2002年には仕事を求めて三重県桑名市同和地区の近くに移住し、同和問題に関心を持ち[4]日本語版ウィキペディアに「藤元真二」[5]名義で部落解放同盟全国連合会の記事を立項したこともある[6]。文筆家として生計を立てるようになるまでの人生について吉川は、進学や就職にあまり熱心ではなく、「けっして順風満帆といえるものではなかった」と述べている[7]

吉川が限界ニュータウンに関心を寄せたのは2017年のことである[8]。結婚を機に安価で広い家を求めて千葉県八街市の賃貸物件へ転居したのがきっかけであった[2]。転居後の吉川夫妻は将来的に安価な中古住宅を購入するために、千葉県北東部[注釈 1]の物件を見学するようになった[9]。そこで辺鄙な立地の雑木林と化した分譲地英語版空き家が多数売りに出されていることを知った[10][8]。しかしそれらの分譲地の詳細を調べようとしてもインターネット上ではいくつかの論文がヒットするのみで、詳細な情報はほとんど見つからなかったという[8]。予算の問題でこれらの分譲地への転居を検討している人々と情報交換をするために[11]、2017年に分譲地の探訪録を扱うブログ「URBANSPRAWL -限界ニュータウン探訪記-」[注釈 2]を設立した[2]。媒体としてSNSや動画投稿ではなくブログを選択した理由は「ネット環境にあまり興味がなく、なにが流行しているのか知らなかった」からだという[8]。また、分譲地を調べ始めたきっかけについて、若い頃から様々な事物を深堀りして調べることが好きだったのも要因のひとつであると述べている[8]。ブログの開設当初はほとんど反響がなかったが、Twitter(現X)を開設したことをきっかけに不動産業界関係者や都市問題に関心を持つ人々を中心に注目を浴びるようになった[8]。吉川は、読者層が当初想定していた郊外分譲地に居を構える人々でないことを「予想外だった」と述べている[12]。はてなブックマーク上でのタグ付けも元々の「ローカル・タウン情報」から「政治」「社会問題」となっていき、それに合わせてブログの内容も「限界ニュータウン」にまつわる都市問題を扱うものへと変化していった[13]

2021年3月にはブログの読者であった太郎次郎社エディタスの編集者から『限界ニュータウン : 荒廃する超郊外の分譲地』の出版の話が来た[14]。書籍の執筆を始めるようになると当時勤めていた運送業との両立が困難になったためコンビニエンスストアでのアルバイトで生計を立てるようになり、2022年2月には書籍の宣伝のためにYouTubeチャンネル「資産価値ZERO -限界ニュータウン探訪記-」を開設した[14]。同チャンネルの動画は2022年10月時点では90万再生を超すものもある[15]。同書は2022年10月に発売されるとネット上を中心に反響を呼び、11月5日時点で第3刷となる好評を博した[16]。2023年2月11日時点では第4刷、累計1万部に達している[17]。太郎次郎社エディタスの担当者は同書の人気について「著者のブログやユーチューブから広がり、不動産や都市問題に関心がある人に届いているようだ」と述べている[17]。また、2022年現在ではメディアに記事を寄稿するライターとしても活動しているほか[14]、取材対象も千葉県の限界分譲地に限らず乱開発された別荘地や原野商法など、かつての不動産投資の負の遺産へと広げて活動を続けている[18][19]

評価

放送大学教授で社会学者の松原隆一郎は『限界ニュータウン : 荒廃する超郊外の分譲地』の書評において「実名情報と辛辣(しんらつ)な指摘、徹底的な資料蒐集(しゅうしゅう)」が注目を浴びた要因だと述べ、吉川について「鋭い観察眼に唸(うな)らされる。不動産業者でもない著者は何者なのか。それが最大の謎だ」と評している[20]。また、『限界分譲地 : 繰り返される野放図な商法と開発秘話』の書評においては「巧みな文体で批判精神も逞(たくま)しい、新たな不動産ジャーナリズムの誕生だ」と評している[15]

東京大学准教授の高谷幸は『限界分譲地 : 繰り返される野放図な商法と開発秘話』について「「限界分譲地」に自ら暮らす著者の冷静な筆致」だと評している[21]。また、同書はジュンク堂書店池袋本店2024年1月7日 – 13日の新書売り上げランキングで5位にランクインしている[22]

著書

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 吉川 祐介のプロフカード”. profcard.info. 2024年9月8日閲覧。
  2. ^ a b c 磨井 2024.
  3. ^ 一つの立て看板から始まった限界分譲地の闇…吉川祐介著「限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地」 - スポーツ報知”. スポーツ報知 (2023年4月24日). 2024年9月8日閲覧。
  4. ^ 【番外編】同和行政が生み出した「町」”. URBANSPRAWL -限界ニュータウン探訪記- (2018年1月13日). 2025年5月18日閲覧。
  5. ^ 利用者:藤元真二会話 / 投稿記録
  6. ^ Post” (2023年11月7日). 2025年5月18日閲覧。
  7. ^ 吉川 2022, p. 234.
  8. ^ a b c d e f 高梨 2023, p. 65.
  9. ^ a b 吉川 2022, p. 11.
  10. ^ 吉川 2022, pp. 12–13.
  11. ^ 吉川 2022, pp. 14–15.
  12. ^ 吉川 2022, p. 15.
  13. ^ 吉川 2022, pp. 15–16.
  14. ^ a b c 吉川 2022, p. 232.
  15. ^ a b 松原 2024, p. 11.
  16. ^ 磨井 2022.
  17. ^ a b 原 2023, p. 17.
  18. ^ 吉川 2022, p. 236.
  19. ^ 牧野 2023, p. 20.
  20. ^ 松原 2022, p. 11.
  21. ^ 高谷 2024, p. 28.
  22. ^ 朝日新聞社 2024, p. 23.
  23. ^ 限界ニュータウン|太郎次郎社エディタス”. 太郎次郎社エディタス. 2024年9月8日閲覧。
  24. ^ 朝日新聞出版 最新刊行物:新書:限界分譲地”. 朝日新聞出版. 2024年9月8日閲覧。
  25. ^ バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮”. KADOKAWA. 2025年5月28日閲覧。

参考文献

  • 吉川祐介『限界ニュータウン : 荒廃する超郊外の分譲地』太郎次郎社エディタス、2022年。 ISBN 978-4-8118-0850-5 
  • 高梨達徳「エキセントリック趣味人の楽しく愉快な人生論」『Daytona』第368巻、ネコ・パブリッシング、2023年9月、32-75頁、全国書誌番号: 00085469 
  • 松原隆一郎「今週の本棚:松原隆一郎・評 『限界分譲地 : 繰り返される野放図な商法と開発秘話』=吉川祐介・著」『毎日新聞』毎日新聞社、2024年2月24日、東京朝刊 11面。
  • 高谷幸「高谷幸の新書速報」『朝日新聞』朝日新聞社、2024年1月27日、28面。
  • 磨井慎吾「【聞きたい。】吉川祐介さん 『限界分譲地』 「荒廃と流入」併存のリアル」『産経新聞』産経新聞社、2024年1月21日、東京朝刊 読書1。
  • 「週間ベスト10」『朝日新聞』朝日新聞社、2024年1月20日、23面。
  • 原武史「(売れてる本)『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介〈著〉」『朝日新聞』朝日新聞社、2023年2月11日、17面。
  • 牧野邦昭「「限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地」」『読売新聞』読売新聞社、2023年1月8日、東京朝刊 書評B 20面。
  • 磨井慎吾「【話題の本】『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』吉川祐介著」『産経新聞』産経新聞社、2022年11月5日、東京朝刊 読書1。
  • 松原隆一郎「今週の本棚:松原隆一郎・評 『限界ニュータウン』=吉川祐介・著」『毎日新聞』毎日新聞社、2022年10月15日、東京朝刊 11面。

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