受益と負担の地域間のばらつきの動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 22:32 UTC 版)
「財政赤字」の記事における「受益と負担の地域間のばらつきの動向」の解説
次に、こうした各地域の受益と負担の関係が、過去20年間でどのように変化してきたのかを受益・負担比率(=受益÷負担)でみてみる。 まず、全国平均の受益・負担比率の動きをみると、国・地方をあわせた財政収支の動向を反映して、80年度からバブル時の90年度にかけて37.0ポイント低下したが、90年代に入ると逆に33.9ポイント上昇している。90年代に受益・負担比率が大幅に上昇したのは、国税を中心とする税収の大幅な落ち込みにより負担が減少した一方で、累次の景気対策等による地方公共団体の支出の増加や、国から地方への財政移転の増加により、受益額が24.4%増と大幅に増加したためである。 次に、これを地域別にみると、受益と負担の地域間のばらつきは90年代に入り拡大したことが分かる。受益・負担比率が高い5団体と、受益・負担比率が低い5団体の動きを比較してみよう。なお、受益・負担比率が高い団体は、相対的に1人あたり所得が低い地域であり、受益・負担比率が低い団体は1人あたり所得が高い地域である。 80年代には、両グループの受益・負担比率はともに低下しているものの、相対的に受益・負担比率が高い5団体の低下幅が大きい。90年代には、受益・負担比率が高い5団体の受益・負担比率が大幅に上昇したのに対し、受益・負担比率が低い5団体の受益・負担比率の上昇幅は小幅に止まり、90年代後半(95~98年度)にはほぼ横ばいで推移している。 さらに、このような地域間のばらつきの拡大が、受益と負担のどちら側の要因で生じたのかをみてみよう。受益・負担比率が高い5団体では、90年代に負担が低下している一方、受益の伸びは、80年代とほぼ同じ水準を維持した。これに対し、受益・負担比率が低い5団体では、負担の伸びが低下するのに伴って、受益の伸びも大きく低下しており、90年代後半にはマイナスの伸びになった。このことから、受益・負担比率が高い5団体と受益・負担比率が低い5団体の間において、90年代に受益と負担の地域間のばらつきが拡大したのは、受益・負担比率が高い5団体における受益の伸びが高かったためであることが分かる。
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