半減期が短い場合の近似的計算法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 08:47 UTC 版)
「比放射能」の記事における「半減期が短い場合の近似的計算法」の解説
比放射能の計算方法を述べよう。まず、放射性同位体の質量数の意味は陽子数+中性子数であり、物質量の規則より、 アボガドロ定数/質量数=1グラムあたりの原子数 という公式である放射性物質が1グラムあったとき(半減期が短すぎるなどで一瞬で崩壊するなどは考えない)、その中にある原子数がこの公式で与えられるわけである。1キログラムあったときの原子数が知りたければ、これに1000を掛ければ良い。他の質量であっても同様に換算できる。ここで半減期の微分方程式を思い起こそう。ここで崩壊定数の時間の単位を秒で求めておく。 まず崩壊定数を求めて代入すると、1秒後には N(1)になっているから、N(0) − N(1) = 1秒間に減少した割合、つまり exp ( − λ × 0 ) − exp ( − λ × 1 ) = 1 − exp ( − λ ) {\displaystyle \exp(-\lambda \times 0)-\exp(-\lambda \times 1)=1-\exp(-\lambda )} この式は1秒後の残留割合を表している。初期値の原子数をA (0)と表せば、この割合にA (0)を掛ければ1秒間に壊変した原子数がわかるので、それが1秒間に壊変する原子数、つまりベクレルであることがわかる。ところでA (0)原子数は1グラムあたりで計算してあるので、求めるべき量は Bq / g = A ( 0 ) ( 1 − exp ( − λ ) ) {\displaystyle {\mbox{Bq}}/{\mbox{g}}={\mbox{A}}(0)(1-\exp(-\lambda ))} である。 ここでは半減期が十分長く、初期の原子数が多過ぎない場合の計算について扱ったが、微分を用いる計算方法も存在する。その場合t =0における微分係数を1次近似としてt =1の時の残留割合として計算するわけである。崩壊定数も参照せよ。いずれにせよ半減期が十分に長く、原子数が多すぎなければどちらの手法で計算しても1秒間での放射能の減衰は無視できるため誤差は少ない。
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