医療民事訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:46 UTC 版)
不幸な転帰をたどった症例において、遺族側が病院や担当医師に結果責任を要求する医療訴訟も1990年代後半から顕著な増加がみられたが、2005年からは減少傾向に転じている。 医療訴訟のなかには医学的に間違った医療行為を行ったものも、必ずしも間違いとは言えない医療行為を行ったものも、どちらもある。基本的には圧倒的に前者の数が多く、何度も医療過誤を繰り返すリピーター医師が存在するとも言われているが、近年後者の例も騒がれるようになってきた。たとえば、主に公立病院にて医学的考察がなされぬままに事務方が患者側に謝罪を行ったことにより、「病院の側に落ち度があったと認識していた」と判断され、刑事事件に発展したり(福島県立大野病院産科医逮捕事件のケース)、理論的な公判維持が困難となり不利な和解条件をのまざるを得なかったりするケースもごく稀にある。 また、民事裁判は必然的に当事者対立構造を取ることになるため、双方とも自分が正しいという前提に立ち、相手の訴訟のやり方を卑劣だとして徹底的に憎むようになり、訴訟が長引けば長引くほど憎しみが増していく。相互理解を求めていた患者側もまた、この対立の増幅構造に巻き込まれることによって、たとえ勝訴したとしても真の解決を手にすることはできない。こうしたことから、医療従事者、患者ともに民事裁判を回避しようとする動きがみられるようになっている。具体的には、裁判外紛争解決手段(ADR)が注目を集めており、真相究明を目指す患者の権利実現とともに、当事者同士の相互理解を促す場として期待されている。
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