動体視力の概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/01 08:56 UTC 版)
動く対象を明視する能力は動体視力と呼ばれる。通常の視力検査では静止している対象(ランドルト環)の分解能を測定しており、いわばフォーカスの程度を測定するものである。静止視力に対し、対象を動かしたときそれをどの程度明視できるかという概念が動体視力である。 実世界における物体のほとんどは3次元空間を移動しているため、動体視力の概念は自分と等距離を保つ移動と、距離が前後する移動とで2種類に分けられている。 DVA動体視力(DVA:Dynamic Visual Acuity) 多くの測定検査では、等距離を保って左右へと横に移動する目標を認識する動体視力。厳密には、等距離を保って左右や上下、斜めも含めた全方向に移動する目標が対象となる。通常は、水平方向に動くランドルト環を用いて計測を行う。 KVA動体視力(KVA:Kinetic Visual Acuity) 距離が前後方向に移動する目標物を認識する動体視力。遠くから前方に近づいてくるランドルト環を用いて計測を行う。 欧米では被験者から等距離にある視標を水平に動かす方法を採用し、1950年頃より研究が始められた。DVAのパラメータとして、最小分離閾値、あるいは識別できる最高速度のどちらかが用いられることが多いが、欧米では統一的な測定方法は確立されていない。 日本では指標が近接する、すなわち遠方から眼前に向けて直進してくる方向を採用し、1970年頃より研究が始められた。しかし、KVAは日本独自の概念であり、欧米ではほとんど知られていない。また、KVAは静止視力との相関が非常に高いため、動体視力ではなく、静止視力そのものを測定しているのではないかという異論も出されている。[誰によって?]
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