副次和声の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/07/25 22:32 UTC 版)
変化音が含まれる旋律を聴くと、しばしばごく弱いトニック化を感じる。より強いトニック化は、トニック化された調の音だけではなく、トニック化された調の和音(内部調の所属和音または内属和音)を借用することによっても行われる(「副次和音 secondary chords」や「副次和声 secondary harmonies」として知られる)。 そのような和音のうちもっとも一般的なものは副次ドミナント(セカンダリー・ドミナント)、つまりトニック化された調のドミナントで、通常次のいずれかである:V、V7、viio(通常は基本形以外で)、またはviio7(しばしば基本形で)。 楽曲分析において(en:diatonic functionを参照)、副次ドミナントは、トニック化された音階の度数と、使用される副次ドミナント和音の種類とを分ける斜線を伴って記譜される。 たとえば、主調がハ長調で、ヘ長調(ハ長調のサブドミナントであり音階の第4度)のトニック化が所望であれば、ヘ長調のV7和音(これはC7である)を、Fへの副次ドミナントとして用いることができる。この場合、この副次ドミナント和音は斜線を用いて次のように記すことができる:「V7/IV」(「five seven over four」と発音される)。もしヘ長調のviio7(Eo7)がV7和音の代わりに用いられたなら、次のように記譜されるだろう:「viio7/IV」(「seven diminished seven over four」と発音)。 ここで述べた3種の副次ドミナント和音(V7、viio、そしてviio7)は、トニック化された調の両方の導音、第7音と第4音を含むことを指摘しておく。 より長いトニック化はその他の副次和音、つまりトニック化された調のサブドミナントやトニックの三和音といったものを含む。一般的に副次ドミナントはトニック化された調の主和音の三和音に解決するが、これは必ずしも必要というわけではない。このような、到達先の主和音が実際には鳴らないトニック化は、半終止または偽終止の場合に、とりわけよく見られる。 大規模な曲では、内部調(または副次調=トニック化された調)が非常に長く続き、部分的な主調であるかのようになることがある。これを2次主調あるいは2次内部調という。たとえば複合三部形式の中間部やソナタ形式の第2主題部分にみられる。 2つの調の間を行き来させるのに使用可能な和声進行の種類についての詳細は、転調を参照のこと。 ポピュラー音楽における副次和声の使用例は、en:List of songs with chromatic harmonyを参照のこと。
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