利他主義による利益
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 01:18 UTC 版)
遺伝子が他の体に宿る自分自身のコピーへの援助を、個体レベルの利他的行動で行うことは前述の通りだが、実際にはどのようにして自身のコピーが宿る個体を見分けるのだろうか。また、どの程度の利他的行動が遺伝子にとって利益を最大にするのだろうか。人間のアルビノ(先天性色素欠乏症)について考えると、アルビノの遺伝子は劣性であり、この遺伝子は他のアルビノの個体を助けるように、自分の宿っている体をプログラミングすることによって自身のコピーを助けることが出来る。この場合、肌が白いというアルビノの形質は、遺伝子がその個体にアルビノに関する遺伝子を持っているかを見分けるのに役に立つ。このようにしてアルビノの遺伝子は助け合うのだが、実際にアルビノの個体同士は助け合って生きているわけではない。アルビノの遺伝子は、他のアルビノ遺伝子を助けたいという意志はもっていない。遺伝子に意志はないのである。だが、アルビノの遺伝子が、他のアルビノの個体を助けるように、自分のいる体を促すという性質を持っているなら、この遺伝子は遺伝子プール内で増えていくはずである。そのためには、アルビノが体に白い肌を与えるという効果と、他の肌の白い個体を助けるといった二つの独立した効果を持っていなければならない。アルビノの個体が、ある他の個体に自分のコピーである遺伝子があるかどうかを見極めるには二つの方法がある。一つは、前述のアルビノ、またえんどう豆のひげの色やショウジョウバエの目の色とった外見に表れる形質である。そしてもう一つは、血縁である。
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