生物はどのようにして利他主義による利益を計算しているのか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 01:18 UTC 版)
「利己的遺伝子」の記事における「生物はどのようにして利他主義による利益を計算しているのか」の解説
生物個体が実際に遺伝子の利益になるように利他的行動をとるのは、前述のような対数による計算を行っているのではなく、遺伝子によってあたかも対数による計算の結果に従っているかのようにふるまうようにプログラムされているからである。生物が行動の基準とする賞味の利益の方法は例えば次のようなものである。 行動パターンの正味の利益=自分の利益-自分の危険+兄弟の利益の1/2-兄弟の危険の1/2+いとこの利益の1/8-いとこの危険の1/8+他のいとこの利益の1/8-他のいとこの危険の1/8・・・・ 生物は、遺伝子の利益が最大になるように、この合計結果が最大になるように行動するものと考えられる。ここで、食料に関する利他主義の利益の例を見てみよう。例えば、ある個体Cがキノコを3個見つけたとする。近くには弟といとこがいる。キノコ1個を食べたときの利益を5とすると、キノコ3個を独り占めしたときの利益は5×3=15である。では、弟といとこを呼ぶとどうなるだろうか。Cの中にある遺伝子が受け取る利益は、自分で食べた分が5×1=5、弟の食べた分の利益が5×1×1/2=5/2、いとこの食べた分の利益が5×1×1/8=5/8である。よって、行動パターンの正味の利益は65/8で、ひとりで食べた場合の15に劣る。この場合は弟といとこを呼ばないほうが良いことになる。これは、かなり単純化した例であって、実際には個体本体の空腹状態など様々な要因が絡んでくる。
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