分類体系の混乱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 08:14 UTC 版)
アカウキクサ科唯一の属であるアカウキクサ属は、アカウキクサ亜属(Subg. Rhizosperma)とオオアカウキクサ亜属(Subg. Azolla)に細分するという見解が多い。しかしその2亜属の他に、A. nilotica を独立した亜属である Tetrasporocarpia 亜属に分類すべきという見解も見られる。これらの亜属に属する各種は、小胞子嚢の球状体(マスラ)にある鈎状毛(グロキディウム)という突起の形状や、葉の細胞表面にある突起の形状などをもとに分類されており、約6種ほどに区別されている。しかし総じて、各種の外見は非常に類似しており、また大胞子と小胞子をつけることが少ないため、分類が困難となっている。そのため、特に雑種を同定する際などに、遺伝子解析による同定も行われている。 ただ、分類方法についての見解は統一されておらず、例えば日本の在来種として、アカウキクサ(A. imbricata)とオオアカウキクサ(A. japonica)が記載されているが、日本以外ではこれらの学名は別の種のシノニムとされることが多い。アカウキクサの学名は A. pinnata または A. pinnata subsp. asiatica などと記載され、オオアカウキクサはニシノオオアカウキクサのシノニムともされることがある他、A. filiculoides var. japonica として変種扱いにされることもある。しかし日本では、この2種の学名については、それぞれ A. imbricata、A. japonica とすることが慣習となっている。また、例えば沖縄県のアカウキクサ(A. imbricata)が A. pinnata subsp. pinnata である可能性もあると示唆されるなど、特に日本のアカウキクサ属の分類についてはまだ不明瞭な点が残る。 また2005年に、オオアカウキクサ節の3種、アメリカアカウキクサ(A. caroliniana)、A. microphylla、A. mexicana について、これらの種は形態的、遺伝的に区別できないとして、アメリカオオアカウキクサ(アゾラ・クリスタータ、A. cristata)として統合するべきとした見解が示された。日本などではこの説が支持されており、特定外来生物に指定された際にもアメリカオオアカウキクサの学名が採用されている。
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