分子のひずみの決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/25 01:04 UTC 版)
「ひずみ (化学)」の記事における「分子のひずみの決定」の解説
化合物の生成熱(ΔHfo)は、それぞれ分かれた元素からその化合物が形成された時のエンタルピー変化として記述される。化合物に対する生成熱が予測または基準化合物と異なる時、この差はしばしばひずみが原因である。例えば、シクロヘキサンのΔHfoが−29.9 kcal/molであるのに対して、メチルシクロペンタンのΔHfoは−25.5 kcal/molである。同じ原子と結合の数を持つにもかかわらず、メチルシクロペンタンはシクロヘキサンよりもエネルギー的に高い。このエネルギー差は、シクロヘキサンでは見られない5員環の環ひずみに起因する。実験的には、ひずみエネルギーは、簡単に実験することができる燃焼熱を用いてしばしば決定される。 分子内のひずみエネルギーの決定は、ひずみなしでの予測される内部エネルギーの知識を必要とする。これを行うためには2つのやり方がある。一つ目は、前述したシクロヘキサンとメチルシクロペンタンの例のように、ひずみを持たない類似化合物と比較する方法である。不運なことに、適した化合物を得るのは困難なことが多い。別の方法は、ベンソンの加性則(英語版)を用いる。化合物内の原子について適切なグループ・インクリメントが利用可能な限り、ΔHfoの推算が可能である。実験的なΔHfoと予測されたΔHfoが異なるとすると、このエネルギー差はひずみエネルギーに帰することができる。
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