冊府元亀とは? わかりやすく解説

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さっぷげんき【冊府元亀】

読み方:さっぷげんき

中国類書1000巻。目録10巻。宋の王欽若(おうきんじゃく)・楊億(ようおく)らが真宗の勅を奉じて撰。1013年成立古代から五代までの歴代君臣事跡311115門に分類記述したもの。


冊府元亀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/06 04:16 UTC 版)

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冊府元亀』(さっぷげんき)は、中国北宋時代に成立した類書のひとつ。『太平広記』、『太平御覧』、『文苑英華』とあわせて四大書と称せられる。

概要

王欽若・楊億らが真宗の『歴代君臣事迹』編纂の勅命により景徳2年(1005年)から大中祥符6年(1013年)までの8年を費やして完成させた。先朝の事蹟に学ぶという要請に直接応えるこの書物に、真宗は「古来のあらゆる記録を集めた書物(「冊府」=古代の書物を蔵した役所、「元亀」=古代の占卜に用いた大きな亀)」の意を込めて『冊府元亀』の名を賜った。

北宋の四大類書のなかで最も大部で、巻数は1000巻に及び、分類は31部1104門(実際は1116門)。各部門は時代の古いものから順に採録されており、歴代の制度沿革を総合的に記した歴代会要の性格を有している。主に『史記』から『旧五代史』までの17の正史がもとになっており、史料的価値を評価しない見方もあるが、特に五代に関しては、後世散逸した実録なども用いており、詳細に採られた詔勅文・上奏文などには本書によってのみ確認できる史料も多く、唐・五代の研究には欠かせない重要史料となっている。また、五胡十六国時代については、散逸して伝わっていない『十六国春秋』を利用した可能性が高く、また『魏書』の様に後世一部が欠けた正史類を補うものでもある。

構成

通常の類書は経・史・子・集の広い範囲にわたって内容を収めるものであるが、本書は『君臣事迹』の名の如く、経・史・子に集中して歴代(太古~五代)の皇帝・宰相・官僚の政治についての事績を集めて分類し、それぞれ年代順に配列する。門数は従来「一千一百四門」とされてきたが、実数は1116門(従来の計算方法でも1106門)である。各部にはそれぞれ「総序」がつく。

全31部の構成は以下の通り。

  • 帝王、閏位、僭偽、列国君、儲宮、宗室、外戚、宰輔
  • 将帥、台省、邦計、憲官、諌静、詞臣、国史、掌礼
  • 学校、刑法、卿監、環衛、銓選、貢挙、奉使、内臣
  • 牧守、令長、宮臣、幕府、陪臣、総録、外臣

このうち、奉使部・外臣部については1938年に東方文化研究所(現在の京都大学人文科学研究所)によって索引が作成されている。

刊本

真宗に上呈された鈔本(手書き本)は、広く臣下にも見せるべしとの上意により、天禧4年(1020年)に北宋初刻本が完成し、輔臣に賜与された。景祐4年(1037年)、御史台にも1セットが下賜された。これら北宋本は早くに散逸した。

南宋に入り、再刻が試みられた。現存するものには2種類あり、何れも四川でおこなわれたため、南宋蜀刻本と言われる。

  • 『新刊監本冊府元亀』本:13行/半葉、24字/行。残8巻(巻249, 251-254, 261, 262, 279)。中国国家図書館蔵。
  • 眉山刻本:「新刊監本」字なし。14行/半葉、24字/行。残573巻(巻6-10, 41-45, 56-60, 129-166, 171-180, 182-204, 271-275, 286-295, 307, 309, 341-345, 356-375, 386-390, 396-400, 411-415, 442, 444-460, 471-475, 482-485, 491-495, 505-538, 545-577, 583-599, 604, 605, 608-660, 666-701, 706-708, 717-720, 726-732, 737-739, 742-756, 761-791, 796-800, 803-806, 811, 812, 815-865, 876-933, 936-938, 940-942, 944-947, 950-956, 967-1000)。日本・静嘉堂文庫[1]、台湾・国立台湾図書館[2]中国国家図書館[3]、北京大学図書館[4]蔵(総計588巻、うち15巻が重複)。

このほか、巻246, 250, 443, 481の1葉のみが残存している。

眉山刻本573巻、新刊監本8巻の計581巻は、中華書局より『宋本冊府元亀』として1989年に刊行された。

こののち、多くの鈔本が流伝した。明末、長年これら鈔本を校勘していた黄国琦・文翔鳳が、福建巡按李嗣京の援助を得て、崇禎15年(1642年)に刊行したものは明刊本(崇禎本)と称され、現在通行する中華書局影印本(1960年)の底本となり、多く参照される(10行/半葉、20字/行。一部は南宋刊本で補われる)。明刊本は南宋刊本を参照せず、また記事・文字の脱誤、独自判断による修正が加えられている。そのため南宋刊本が残存する箇所に関しては、対校が不可欠である。

南京大学古典文学研究所によって、明本(中華書局1960年影印本)を底本として宋本、正史類のほか、『唐会要』『唐大詔令集』『全唐文』など多くの漢籍史料との校勘がおこなわれた校訂本が2006年に出版された。

関連文献

  • 『冊府元亀』 中華書局、1960年。(影印本、全12冊)
  • 『宋本冊府元亀』 中華書局、1989年。(影印本、全4冊)
  • 周勛初等校訂『册府元亀(校訂本)』 鳳凰出版社、2006年。(横組み繁体字、全12冊、うち第12冊は人名索引)
  • 宇都宮清吉・内藤戊申編『冊府元亀奉使部外臣部索引』 東方文化研究所、1938年。(再刊:臨川書店、1988年)

参考文献

  • 衣川強「冊府元亀」『大百科事典』 平凡社、1984年。
  • 古林森廣「冊府元亀」『世界歴史大事典』 教育出版センター、1995年。
  • 氣賀澤保規「『冊府元亀』 隠された中国史の宝庫・帝王学書」『しにか』1998-3, pp.45-49.

脚注

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  1. ^ 陸心源皕宋楼旧蔵。巻129-166, 171-180, 182-204, 505-538, 545-565, 567-577, 583-599, 604-605, 608-660, 666-675, 676-678, 679-701, 706-708, 717-720, 726-732, 737-739, 742-756, 761-791, 796-800, 803-806, 811-812, 815-865, 876-900, 906-933, 936-938, 940-942, 944-947, 950-956, 967-1000、計474巻。
  2. ^ 6-10, 41-45, 56-60, 271-275, 307, 341-345, 356-375, 386-390, 396-400, 411-415, 456-460, 471-475, 484(国家図書館蔵と重複), 485, 491-495, 586-590(静嘉堂と重複), 611-615(静嘉堂と重複)、計88巻。
  3. ^ 袁克文、李盛鐸傅増湘、瞿啓甲旧蔵。巻286-295, 309, 442, 444-445, 482-484,786-787(静嘉堂蔵と重複), 789(静嘉堂蔵と重複), 901-905、計25巻。
  4. ^ 巻788(静嘉堂蔵と重複)

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