公開遺伝子データ解析により明らかにされた矛盾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 23:52 UTC 版)
「刺激惹起性多能性獲得細胞」の記事における「公開遺伝子データ解析により明らかにされた矛盾」の解説
理化学研究所統合生命医科学研究センター上級研究員の遠藤高帆は、小保方らのレター論文の発表に付随してWEB上で公開されていたmRNAの配列データの一塩基多型(SNP)を解析することにより以下の結論を得、9月21日、日本分子生物学会の英文誌 Genes to Cells 上で発表した。 FI幹細胞 FI幹細胞(FGF4誘導幹細胞)のものとされるmRNAデータが、ES細胞が9割、胎盤になる能力のある幹細胞であるTS細胞が1割が混ざった特徴を持っていた。 STAP細胞 STAP細胞のmRNAの発現量をSMARTerを使用して解析したデータにおいて、これを分析した結果、ほぼすべての細胞に8番染色体が通常の2本より1本多くなる「トリソミー」と呼ばれる異常のあることが示された。この異常を起こしたマウスは、通常は胎児の段階で死亡することから、生後1週間ほどのマウスからリンパ球を採取してSTAP細胞を作ったとする小保方らの主張と合致しない。 なお、8番染色体のトリソミーは、すでに研究で広く使われているマウスのES細胞を長期間培養するとしばしば起きる異常としても知られている。 多能性を示す指標遺伝子 STAP細胞のmRNAの発現量をTruSeqを使用して解析したデータにおいて、多能性を示す指標遺伝子がまったく転写されていなかった。従前よりSTAP細胞作成の根拠の一つとされる蛍光が、指標遺伝子の発現によるものではなく、死にかけた細胞がよく発する自家蛍光ではないかと指摘されていたが、それを補強する結果であった。また、SMARTerで解析した結果と一致せず、STAP細胞とされるものが2種類存在したことになる。
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