債権的登記請求権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 09:15 UTC 版)
債権的登記請求権とは、不動産の売買契約に基づいて所有権移転登記請求をする場合や、賃貸借契約において登記をするとの特約に基づいて賃借権設定登記請求をする場合のように、当事者間の合意に基づいて生じる登記請求権をいう。 もっとも、何らの物権変動が生じていないのに、登記をする旨の合意は無効であり、そのような合意からは登記請求権は生じない。 中間省略登記 債権的登記請求権に関し、特に問題となるのが、中間省略登記である。中間省略登記とは、A→B→Cと不動産が売買された場合に、A・B・C間の合意で、直接AからCに対して移転登記をするような場合をいう。これは、主に登録免許税等を節約するために行われる。 登記実務上、AとCが、A・B間及びB・C間の登記原因証書(売買契約書)を提出して、AからCへの中間省略登記を共同申請しても、受理されない(もっとも、旧法下では、A・C間の売買を登記原因として、登記原因証書に代えて登記申請書の副本を提出すれば受理されていた(旧不動産登記法40条)が、新法で申請書副本の制度は廃止された)。 これに対し、訴訟による方法では、Cは、A及びBが承諾している場合にはAに対し中間省略登記による登記請求の勝訴判決を得ることができ(最高裁昭和38年6月14日判決・集民66号499頁、最高裁昭和40年9月21日判決・民集19巻6号1560頁・最高裁判例情報)、この勝訴判決を得たときは、登記所は裁判所の判断を尊重して中間省略登記を受理している(不動産登記法63条1項)。 中間省略登記については、物権変動の過程を忠実に反映するという登記法の建前に反しているとして否定的に捉える見解と、現実の要請に照らして、やむを得ないものと捉える見解がある。
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