債務者の取立てその他の処分の権限等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 15:15 UTC 版)
「債権者代位権」の記事における「債務者の取立てその他の処分の権限等」の解説
債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない(423条の5)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で新設された規定である。 古い判例には、債権者が債務者の権利を代位行使し、それを債務者に通知するか債務者が了知したときは、債務者は自ら権利を行使すること(権利の処分)ができないとされていた。債権者代位権が行使されると、債務者(代位行使された債権の債権者)はもはや代位行使された債権を自己の意思で処分することは出来ないとされ、いわば差押えを受けたのと同様の効果が生じるとされていた。 しかし、債権者代位権は債権者が債務者に代わって権利を行使して責任財産を保全する制度であり、債務者の権限を制限する目的の制度ではないという批判が強かった。そのため2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で過去の判例と異なる立場から新設された規定である。 債権者が債務者の処分権限を制限したい場合は、債権者代位権ではなく、民事保全・民事執行の手続による必要がある。
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