偏磁の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 14:24 UTC 版)
フォワード方式、フライバック方式は、トランスの1次巻線を片方向にしか磁化しない。このため、デューティ比を50%未満に抑え、適切な減磁の手段を講じることで、コアに直流磁気が残留する偏磁現象は防げる。 これに対し、プッシュプル方式、ハーフブリッジ方式、フルブリッジ方式は、トランス本来の使い方である、コアに交流磁界を発生させる方式である。このため、1次巻線に流れる電力が、正方向の電力と負方向の電力にアンバランスが生じると、コアに残留磁界が生じる。この残留磁界が累積すると、コアが磁気飽和を起こし、1次巻線が発生する磁気エネルギーが2次巻線に正しく伝達されなくなり、1次巻線には過大な電流が流れ、スイッチやトランスを破壊する事故が発生してしまう。 フルブリッジ方式の場合、トランスの偏磁による飽和を防ぐため、一次側巻線の一端又は他端の何れかに、コンデンサを挟む。 電圧型プッシュプル方式の場合、フルブリッジ方式のようにコンデンサを電源と1次巻線との間に挟むことができない。このため、電力損失を覚悟の上で抵抗を挟む場合が多い。一方、電流型プッシュプル方式の場合、前述のように電圧型とは異なり、偏磁に起因する事故が生じ難い。 ハーフブリッジ方式は、その回路構成自体にコンデンサを有することで、自ずと偏磁が生じ難い、とする見解と、コンデンサの容量ばらつきによって偏磁を避けられない、とする見解とで別れている。
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